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第1回 DNAの収納術

「もうこれ以上入らない!」と押し入れや食器棚を見て思うことはありませんか? 実はそう思っているあなたの体は、ほんの小さな場所に大量の物を収納しているのです。収納しているもの、それはDNAです。

DNAは生命の設計図といわれ、細胞の核の中に入っているひも状の物質です。細胞核の直径は0.01mm程度、DNAは伸ばすと約2mです。直径1cmの球状の入れ物に2kmのひもが入っているのを想像してみてください。よほどぎゅうぎゅうに詰めないと入らなそうです。

さて、長いひも状の物を収納するときあなたならどうしますか?たとえば、プレゼントに付いていたきれいなリボン、捨てるにはもったいないし、なにかに使えそう。ぐちゃぐちゃにしてどこかに押し込む?そんなことをしたら、からまって使い物にならないでしょう。そんなとき、きっとあなたはこうするはずです。まず厚紙など芯となるものにリボンをクルクルと巻き付ける、そして小さな箱に収納する。

実はDNAも同じようにクルクルと巻かれて収納されているのです。リボンがDNAとすると芯にした厚紙はヒストンというタンパク質などからなる複合体です。DNAはこの複合体に巻きついて細胞核の中に整然と収納されています。ただきっちりと収められているだけではありません。いざ必要となれば、長いDNAの中の適切な部分が活性化して様々な制御が行われるのです。

自然の摂理に従えば、あなたも整理整頓できる、はず?

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