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2026.10.14

健康は個人だけのものではない。~「配偶者疫学」を提案する論文が掲載~

健康は個人だけで決まるものではありません。夫婦は互いの健康に影響を及ぼし合う存在です。この夫婦間の健康関連性に着目し、健康の相互依存性を理解するための新たな学術的枠組み「Spousal Epidemiology(配偶者疫学)」を提案した論文が、この度Journal of Epidemiology and Community Health誌に掲載されました。

著者らが過去に行った ToMMoとオランダ・Lifelinesとの国際共同研究の成果にもあるように、喫煙や飲酒、食習慣、疾患有病などは夫婦間で類似することが知られています。しかし、従来の疫学研究では個人を分析単位とすることが多く、配偶者間の相互作用を包括的に捉える視点は十分に整理されていませんでした。

本研究では、夫婦を相互に関連する健康単位として捉える「Spousal Epidemiology(配偶者疫学)」の概念枠組みを構築しました。提案した枠組みでは、配偶者選択、共有環境、健康行動の伝播、介護や情緒的支援などを通じて生じる健康への相互影響を整理し、夫婦間の健康関連性が形成されるメカニズムを体系化しています。また、従来の個人中心の疫学研究を補完し、健康の社会的・関係的側面を考慮した新たな研究方向を提示しました。さらに、研究デザインや統計解析、介入戦略において夫婦を分析単位として扱う重要性についても論じています。

配偶者疫学は、健康を個人だけでなく関係性の中で理解する新たな研究視点を提供します。今後は夫婦単位のデータを活用した実証研究や介入研究を通じて、この理論の検証と発展が期待されます。

本論文は『東北大学2026年度オープンアクセス推進のためのAPC支援事業』の支援を受け、Open Accessとなっています。

書誌情報

タイトル:Spousal Epidemiology: A Conceptual Framework for Interdependent Health in Couples
著者名:Naoki Nakaya, Kumi Nakaya, Toshimasa Sone, Toyohiro Hamaguchi, Mana Kogure, Sayuri Tokioka, Masato Takase, Atsushi Hozawa
掲載誌:Journal of Epidemiology and Community Health
掲載日:2026年10月13日
DOI:10.1136/jech-2026-226591