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2026.10.13

アルツハイマー病のリスク因子と海馬の萎縮の進行に関する研究成果が論文掲載

脳と心の健康調査によるMRI画像データを用いて、アルツハイマー病の主要な遺伝的リスク因子であるAPOE ε4遺伝子型と性別が、加齢に伴う海馬の萎縮にどのように関連するかを検討した研究論文が、国際科学誌 Neuroradiology に掲載されました。

アルツハイマー病では、記憶に重要な役割を果たす脳の領域である「海馬」の萎縮が、認知機能の低下に先立って現れることがあります。APOE ε4はアルツハイマー病の発症リスクに関わる遺伝的要因として知られていますが、加齢に伴う海馬の萎縮の進行にどのように関係するかについては、十分に明らかになっていませんでした。
本研究では、ToMMoの脳と心の健康調査に参加した成人9,453人のMRIデータを用いて解析を行いました。このうち、平均約4.7年の間隔で2回のMRI検査を受けた5,774人について、海馬および脳全体の容積の経時的な変化を調べました。

その結果、APOE ε4を2つ持つ人(ε4/ε4型)では、ε3/ε3型やε3/ε4型の人と比べて、海馬の容積がより大きく減少することが示されました。また、女性では男性に比べて海馬の容積の減少が大きく、これらの差は加齢に伴って拡大する傾向が認められました。一方、脳全体の容積の変化については、遺伝子型や性別による同様の差は認められませんでした。これらの関連は、認知機能の評価結果を考慮した解析でも認められました。

本研究は、日本人を含む一般集団の大規模なコホートにおいて、APOE ε4の遺伝子型や性別と、加齢に伴う海馬の萎縮の進行との関連を、複数回のMRI検査によって縦断的に示したものです。今後、アルツハイマー病の発症前段階における脳の変化の理解や、発症リスクの評価方法の研究に貢献することが期待されます。

書誌情報

タイトル:Accelerated hippocampal atrophy in APOE ε4 homozygotes and females: Longitudinal findings from the Tohoku Medical Megabank MRI study
著者名:Shunji Mugikura, Naoko Mori, Megumi Satake, Ippei Chiba, Makiko Taira, Takuya Koyama, Tomomi Onuma, Tomo Saito, Masato Takase, Ikuko N Motoike, Takanori Hidaka, Akihito Otsuki, Masatsugu Orui, Taku Obara, Fuji Nagami, Naoki Nakaya, Soichi Ogishima, Kazuki Kumada, Fumiki Katsuoka, Seizo Koshiba, Yasuyuki Taki, Ritsuko Shimizu, Shinichi Kuriyama, Kinuko Ohneda, Yoko Izumi, Nobuo Fuse, Atsushi Hozawa, Kengo Kinoshita, Masayuki Yamamoto
掲載誌:Neuroradiology
掲載日:2026年10月9日
DOI:10.1007/s00234-026-04210-6