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2025.09.30

三世代コホート調査でのお子さんの心電図に関する論文が掲載

三世代コホート調査におけるお子さんの心電図測定値の分布や関連要因に関する論文が、国際科学誌BMC Pediatrics誌に掲載されました。

日本ではこれまで小中学生の心電図測定値の分布は知られていましたが、就学前のお子さんの心電図測定値の分布はまだ十分に明らかにされていません。本研究では、三世代コホート調査で4歳から測定されているお子さんの心電図測定値の分布を示しました。またご両親の心電図測定値を含め関連要因についても検討しました。

今回、三世代コホート調査で4-9歳の間に測定した6,061人のお子さんたちの心電図測定値を対象としました。心拍数、QRS間隔、QT間隔、P軸、QRS軸、T軸は男女で違いが認められました。また、QRS間隔は年齢においても違いが認められました。
関連要因の検討は、ご両親とお子さんの測定値が得られた2,285組を対象としました。PR間隔とQRS間隔はご両親とお子さんとの間に正の関連が認められました。また、補正QT間隔やP軸は、お母さんとお子さんとの間に正の関連が認められました。一方、お子さんの性別やbody mass index(BMI)の値は、ご両親の心電図測定値を含めて多変量解析をすると、心電図測定値のほとんどで関連が認められませんでした。

本研究により、幼少期の心電図測定値には遺伝的背景が関係する可能性が考えられます。将来的に若い世代の心電図異常のスクリーニングにそれらの考慮が必要であることが示唆されます。

用語解説

QRS間隔:心房の再分極、心室の脱分極が行われる時間
QT間隔:心室の収縮時間
P軸:心房からの出た興奮が伝わる向き
QRS軸:房室結節から心室に興奮が伝わる向き
T軸:興奮した心筋が再分極する際の向き

書誌情報

タイトル:Electrocardiogram characteristics and possible associated factors in healthy Japanese children: the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
著者名:Shingo Nakashima, Mami Ishikuro, Keiko Murakami, Fumihiko Ueno, Aoi Noda, Tomomi Onuma, Fumiko Matsuzaki, Taku Obara, Shinichi Kuriyama
掲載誌:BMC Pediatrics
掲載日:2025年9月29日
DOI:10.1186/s12887-025-06025-5