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2023.04.10

地域住民コホート調査における脂肪量指数と除脂肪量指数の組み合わせと呼吸機能に関する論文がJournal of Epidemiology誌に掲載

東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査をもとにした脂肪量指数と除脂肪量指数の組み合わせと呼吸機能に関する論文がJournal of Epidemiology誌に掲載されました。
スパイロメトリーは肺活量などの肺機能を調べる検査で、慢性閉塞性肺疾患などの診断に用いられており、Body Mass Index(BMI)*が高いほど呼吸機能が低いことが報告されています。しかし、BMIは体組成(脂肪量や筋肉)を区別することができません。脂肪の蓄積は横隔膜や胸郭の拡張と可動域を制限するため、呼吸機能の低下と関連することが示唆されている一方で、筋肉や臓器、骨などを含む除脂肪量は呼吸機能量を反映し、肺を拡張および収縮する能力を高めることで呼吸機能の増加と関連すると考えられていました。しかし、脂肪量、除脂肪量の両者を考慮して、体組成の違いにおける呼吸機能の関連を検証した報告はありませんでした。そこで、本研究では脂肪量を身長の2乗で除した脂肪量指数と、除脂肪量を身長の2乗で除した除脂肪量指数の四分位(小さい順に並べ、均等に4つの群に分けたもの)の組み合わせと呼吸機能の関連を検討しました。
本研究において、除脂肪量指数が高いほど呼吸機能の値が高く、脂肪量指数が高いほど呼吸機能の値が低いことが明らかになりました。さらに、非喫煙者に限定した場合も、同様の関連が認められました。このことから、呼吸機能の維持には脂肪の減少および除脂肪量の維持が重要である可能性が示唆されました。

* Body Mass Index(BMI)(体重(kg)を身長(m)の2乗で割った指標、体格の指標として広く用いられる)

書誌情報

タイトル:Combined fat mass and fat-free mass indices and lung function among Japanese population: The Tohoku Medical Megabank Community-based Cohort Study
著者名:Masato Takase, Mitsuhiro Yamada, Tomohiro Nakamura, Naoki Nakaya, Mana Kogure, Rieko Hatanaka, Kumi Nakaya, Ippei Chiba, Ikumi Kanno, Kotaro Nochioka, Naho Tsuchiya, Takumi Hirata, Yohei Hamanaka, Junichi Sugawara, Tomoko Kobayashi, Nobuo Fuse, Akira Uruno, Eiichi N Kodama, Shinichi Kuriyama, Ichiro Tsuji, and Atsushi Hozawa
掲載誌:Journal of Epidemiology
早期公開日:2023年4月8日
DOI:10.2188/jea.JE20220355