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2023.02.15

地域住民コホート調査における頸動脈IMTと動脈硬化危険因子に関する論文がJournal of atherosclerosis and thrombosis誌に掲載

東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査において、頸動脈内膜中膜複合体厚(Intima Media Thickness, IMT)と動脈硬化危険因子(年齢、性別、喫煙、飲酒、Body mass index(BMI)*1、収縮期血圧、HbA1c、non-HDLコレステロール*2、HDLコレステロール)の関連について解析した結果をまとめた論文がJournal of Atherosclerosis and Thrombosis誌に掲載されました。

動脈硬化性疾患予防ガイドラインにおいて、動脈硬化危険因子として、年齢、喫煙、高脂血症、高血圧、糖尿病などが示されているだけでなく、動脈硬化の評価方法の1つとしてIMTが挙げられています。先行研究においてIMTは年齢、BMI、収縮期血圧、空腹時血糖値、喫煙、HDLコレステロールと関連することが報告されています。このように、IMTが動脈硬化性疾患と関連することが示されていましたが、IMTにおける動脈硬化危険因子の寄与について調査した研究はありませんでした。そこで、地域住民コホート調査の約13,000人の大規模なデータを用いて、IMTと動脈硬化危険因子の関連について詳細に調査し、IMTにおける動脈硬化危険因子の寄与を比較しました。

本研究において、女性と比較して男性でIMTの値が高く、年齢、身長、BMI、収縮期血圧、HbA1c、non-HDL-コレステロールはIMTと正の関連が認められ、HDLコレステロールはIMTと負の関連が認められました。また、非飲酒者と比較して1日46g以上エタノールを摂取する者で有意にIMTの値が低くなっていました。IMTにおける動脈硬化危険因子の寄与を比較すると、年齢が最もIMTに寄与しており、次に収縮期血圧、BMI、そして飲酒の順となっていました。1日46g以上エタノールを摂取する者においてIMTの値が低くなるメカニズムは不明ですが、動脈硬化の進展を予防するために、動脈硬化危険因子の管理、治療が重要であることが改めて示されました。

*1 Body Mass Index(BMI)(体重(kg)を身長(m)の2乗で割った指標、体格の指標として広く用いられる)
*2 non-HDLコレステロール 総コレステロールから善玉のHDLコレステロールを引いたもの
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年 

書誌情報

タイトル:Carotid Intima Media Thickness and Risk Factor for Atherosclerosis: Tohoku Medical Megabank Community-Based Cohort Study
著者:Masato Takase, Naoki Nakaya, Tomohiro Nakamura, Mana Kogure, Rieko Hatanaka, Kumi Nakaya, Ippei Chiba, Ikumi Kanno, Kotaro Nochioka, Naho Tsuchiya, Takumi Hirata, Yohei Hamanaka, Junichi Sugawara, Tomoko Kobayashi, Nobuo Fuse, Akira Uruno, Eiichi N Kodama, Shinichi Kuriyama, Ichiro Tsuji and Atsushi Hozawa
掲載誌:Journal of atherosclerosis and thrombosis
早期公開日:2023年2月11日
DOI:https://doi.org/10.5551/jat.64039