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2023.01.20

呼吸機能検査指標と高血圧との関連について報告した研究がJournal of Hypertension誌に掲載

東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査において、スパイロメトリーにより得られた呼吸機能検査指標と高血圧の関連について解析した結果をまとめた論文がJournal of Hypertension誌に掲載されました。

スパイロメトリーは、肺活量などの肺機能を調べる検査で、慢性閉塞性肺疾患などの診断に用いられます。高血圧は循環器疾患の危険因子として知られておりますが、スパイロメトリーから得られた呼吸機能検査指標が高いほど、高血圧のリスクが低いことがこれまでの研究で報告されています。しかし、日本人集団において、呼吸機能が高血圧と関連するものか調査した研究はありませんでした。また、家庭で測定した血圧は、診察室で測定した血圧よりも予後予測能が高いことが報告されており、家庭血圧測定の重要性が知られていますが、呼吸機能と家庭で測定された血圧により判定された高血圧の関連を報告した研究は国内外においてありませんでした。そこで、地域住民コホート調査のデータを用いて、呼吸機能検査指標である1秒量(FEV1)、努力性肺活量(FVC)と地域支援センターにて測定した血圧から判定された高血圧、および家庭で測定した血圧により判定された高血圧との関連をそれぞれ検討しました。

研究の結果、呼吸機能検査指標が低い人に比べて、呼吸機能検査指標が高い人ほど高血圧有病のオッズ比が有意に低いことが明らかになりました。この関連は、家庭で測定した血圧により判定された高血圧においても認められました。さらに、非喫煙者、過去喫煙者、現在喫煙者にそれぞれ限定した場合も、両者の間に関連が認められました。今回の検討ではどちらが原因であるかを明らかにすることはできませんが、呼吸機能検査指標が低い人には血圧の測定が、高血圧の人には呼吸機能検査が必要であることが示されました。

書誌情報

タイトル:Association between lung function and hypertension and home hypertension in a Japanese population: the Tohoku Medical Megabank Community-Based Cohort Study
著者:Takase Masato, Yamada Mitsuhiro, Nakamura Tomohiro, Nakaya Naoki, Kogure Mana, Hatanaka Rieko, Nakaya Kumi, Chiba Ippei, Kanno Ikumi, Nochioka Kotaro, Tsuchiya Naho, Hirata Takumi, Hamanaka Yohei, Sugawara Junichi, Kobayashi Tomoko, Fuse Nobuob, Uruno Akira, Kodama Eiichi N, Kuriyama Shinichi, Tsuji Ichiro, Hozawa Atsushi,
掲載誌:Journal of Hypertension
掲載日:2023年1月4日
DOI:10.1097/HJH.0000000000003356