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2022.07.11

自宅の室温環境の評価と心理的苦痛との関連を検討した論文がPublic Health誌に掲載

地域住民コホート調査のデータをもとに、CASBEE健康チェックリスト※により得られた自宅の室温環境の評価と心理的苦痛との関連について解析した結果をまとめた論文が、2022年6月20日(月)にPublic Health誌に掲載されました。

私たちは自宅で多くの時間を過ごすため、住環境は健康に影響する重要な課題であると言われています。世界保健機関(World Health Organization: WHO)の住宅と健康に関するガイドラインでは、低いまたは高い室温は健康を害する要因のひとつとして挙げられ、快適な室温を保つために適切に暖房を使用するようガイドラインを定めている国もあります。

住宅の室温環境を評価するためには実際の温度や湿度を測定する方法があります。しかし、費用や対象者の負担が大きいことから、国内において住環境を含んだ大規模な健康調査は十分に行われておらず、居住者の健康を守る住環境整備に向けたエビデンスの構築が必要とされていました。

2011年にCASBEE健康チェックリストという指標が開発され、これにより、専門知識や測定機器を必要とせず、簡便に住環境の調査を行うことが可能となりました。本研究では、このチェックリストから得られた自宅の室温環境に関する評価と心理的苦痛との関連を横断研究デザインで検討しました。

研究の結果、CASBEE健康チェックリストのスコアが高い人に比べて、スコアが低い(自宅の室温環境に不満を持っている)人ほど心理的苦痛ありのオッズ比が有意に高いことが明らかになりました。社会経済的要因や調査時の季節等を考慮しても、両者の間には有意に関連が認められました。居住者のメンタルヘルスのため、住環境の整備が重要である可能性が示唆されました。

※ CASBEE健康チェックリスト:一般社団法人日本サステナブル建築協会により開発された、住宅の健康性を居住者の視点で評価する指標。
https://www.jsbc.or.jp/CASBEE/health_check/index.html

関連リンク

論文タイトル:Relationship between the housing coldness/warmth evaluation by CASBEE Housing Health Checklist and psychological distress based on TMM Community-Based Cohort Study: a cross-sectional analysis
著者:Ikumi Kanno, Kenichi Hasegawa, Tomohiro Nakamura, Mana Kogure, Fumi Itabashi, Akira Narita, Naho Tsuchiya, Takumi Hirata, Naoki Nakaya, Junichi Sugawara, Shinichi Kuriyama, Ichiro Tsuji, Shigeo Kure, and Atsushi Hozawa
掲載誌:Public Health
掲載日:2022年6月20日