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2018.10.02

食塩摂取量と交互作用し、血圧に影響を及ぼす遺伝的多型を同定

東北大学東北メディカル・メガバンク機構の成田暁助教と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構生体情報解析部門の八谷剛史客員准教授を中心とした共同研究チームは、東北メディカル・メガバンク計画の参加者約1万人の遺伝的多型情報を元に、食塩感受性(食塩摂取量に応じて血圧が変動しやすい体質)に影響を与える新たな遺伝的多型をBCL11B遺伝子近傍に発見しました。その成果が2018年9月21日付けで国際科学雑誌 Scientific reports に掲載されました。

図1 研究の概要

 

【概要】
食塩の過剰摂取は高血圧の主要なリスク要因であり、世界中で摂取量削減に向けた取り組みが行われています。しかし、食塩摂取が血圧に及ぼす影響には個人差があり、一律の摂取制限ではなく、個人の体質の違い応じた食塩摂取量のコントロールが必要なのではないかと考えられてきました。

そこで、研究チームではTMM計画にご参加いただいた方々の中から、遺伝情報の解読が完了した約1万人分の遺伝的多型情報*1と、血圧および尿中のナトリウム濃度から推定した一日の食塩摂取量*を全ゲノム遺伝的多型−環境交互作用解析*と呼ばれる手法で解析し、食塩感受性(食塩摂取量に応じて血圧が変動しやすい体質)に影響を与える遺伝的多型を探索しました。その結果、BCL11B遺伝子下流側に位置する一塩基多型(SNP)*rs8022678が食塩感受性と関連していることを発見しました。(図2)

図2 各SNPx推定1日食塩摂取量間の交互作用*5と血圧との関連

遺伝的多型rs8022678はA(アデニン)とG(グアニン)の2種類のアリルがあります。Aアリルの保持者(AAまたはAG; TMM集団中の53.4%)の集団では、食塩摂取量の多い方と少ない方の収縮期血圧(最高血圧)の差が平均5.9 mm Hgであったのに対し、Aアリル非保持者(GG; TMM集団中の46.6%)の集団では、食塩摂取量の多い方と少ない方の収縮期血圧に顕著な違いは見られませんでした(図1)。この結果は、rs8022678 Aアリル保持者は非保持者に比べて、食塩摂取量を削減することによる血圧上昇の防止効果が得られやすいことを示唆しています。

【まとめと展望】
本研究チームは日本人約1万人の遺伝的多型情報と血圧及び推定食塩摂取量を元に、全ゲノム規模の遺伝的多型−環境相互作用解析を行い、食塩感受性に影響を与える新たなゲノム多型を同定いたしました。
この結果は、個人の遺伝的な体質に応じた食事・栄養指導による高血圧予防につながる可能性があり、個別化予防・個別化医療の実現に貢献することが期待されます。

【書誌情報】
論文題名:Genome-wide analysis of polymorphism × sodium interaction effect on blood pressure identifies a novel 3’-BCL11B gene desert locus
論文名邦訳:食塩摂取量と交互作用し、血圧に影響を及ぼす遺伝的多型を全ゲノム関連解析によりBCL11B 遺伝子3’ 末端側の遺伝子砂漠領域に新たに同定
掲載誌:Scientific Reports
DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-018-32074-1
著者:八谷剛史、成田暁、大桃秀樹、須藤洋一、小巻翔平、丹野高三、佐藤衛、坂田清美、人見次郎、中村元行、小笠原邦昭、山本雅之、佐々木真理、寳澤篤、清水厚志

【用語解説】
*1  遺伝的多型情報
提供いただいたDNAから遺伝情報を読み取り、遺伝情報の個人ごとの違い(遺伝的多型)を検出して集約した情報です。

*2  1日推定食塩摂取量 (田中式)
本研究では、尿中のナトリウムおよびクレアチニンの量を田中式と呼ばれる計算式に当てはめて、一日の食塩摂取量を推定しました。

*3  全ゲノム遺伝的多型−環境交互作用解析
遺伝的多型の中には、例えば塩分摂取量が多いなど、特定の状況(環境)で効果が明確に現れるものがあります。本法は解析に用いる式に環境と遺伝的多型の交互作用を表す項を追加することで、特定の条件下で影響が現れる遺伝的多型を全ゲノム中から探し出す方法です。

*4  一塩基多型(SNP)
遺伝的多型のうち、遺伝情報の最小単位である塩基ひとつ分が変わることによる多型です。

*5  交互作用
2つの因子が合わさることで現れる複合的な効果のことです。今回の場合、食塩摂取量と各遺伝的多型の交互作用を解析しています。

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