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2016.07.15

日本人の基準ゲノム配列のデコイ配列decoyJRG v1を公開しました

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(以下、ToMMo)は、コホート調査の参加者から提供されたDNAをもとに、長鎖読みとり型の次世代シークエンサーPacBio RS II (Pacific Bioscience社製:以下、Pac Bio)を用いて、ヒトゲノム全長の100倍に相当する3,000億塩基のシークエンシングを行い、全ゲノム解読し、国際ヒトゲノム参照配列に対して、日本人が保有しこれまで報告されてこなかった約3,600箇所の新たな挿入配列、約250万塩基の同定に成功しました。本シークエンス解析解読の結果、ToMMoは4月23日付で、日本人の基準ゲノム配列(JRG)を決定した、と発表しています。

さらにToMMoは、新たに同定された配列群を挿入するなどして得られた日本人の基準ゲノム配列JRG v1(Japanese Reference Genome version 1)、を2016年夏頃に公開することとし、先にデコイ配列*decoyJRG v1を2016年7月15日にポータルサイトで公開することとしました。デコイ配列とは、国際ヒトゲノム参照配列には含まれていない領域をまとめたもので、decoyJRG v1は日本人に高頻度でありながら国際ヒトゲノム参照配列には含まれていない配列で、ゲノム解読時の読み取り精度の向上に活用されます。

両配列の公開は、国際ヒトゲノム参照配列だけを用いている際には精確に読みとることのできなかった領域の研究に大きく寄与し、日本のゲノム研究全体を底上げ、加速させるものと期待されます。また今回の成果は日本人に特徴的なゲノム構造を明らかにする成果であり、今後、日本の医学研究の大きな基盤となる成果と考えられます。

公開の諸条件

公開対象: デコイ配列decoyJRG v1
公開ウェブサイトURL: http://jrg.megabank.tohoku.ac.jp/
公開方式: fasta形式のファイルによるダウンロード
配列数: 約250万塩基
条件:
 ・研究目的であればどなたでも自由にダウンロードできます。
 ・ダウンロードにあたっては、研究機関名・氏名等の登録をお願いします。
 ・登録にあたって審査等はありません。

デコイ配列*:繰り返し配列などの、短鎖型次世代シークエンサーでの難読領域等を仮想配列として統合した配列。難読配列は、短鎖型次世代シークエンサーによって読みとりはされるが、その読みとり結果を、国際ヒトゲノム参照配列等に照らして並べ(マップし)ようとすると、適合しなかったり、特定箇所に過度に集中するなどして、うまくマップすることができない。そうした領域を、(デコイ=おとりのようにして)人為的に集める仮想配列をつくると、短鎖型次世代シークエンサーの結果の解析に対して有用である。

 

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