お知らせ
- 2026.06.17
ToMMoの研究者が中心となって推進した尿ナトカリ比について厚生労働省の実証事業の報告書が公開されました
日本高血圧学会が受託した
令和5年度から7年度にかけて実施された「予防・健康づくりに関するエビデンス構築事業 (食行動・女性の健康・環境整備) A) 食行動の変容に向けた尿検査及び食環境整備に係る実証事業」の報告書が公開されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172_00020.html
ToMMoのこれまでの尿ナトカリ比に関する取り組みが評価され、この実証事業では寳澤 篤教授がプロジェクトリーダーを務めました。また事業進行管理は、寳澤教授、泉 陽子教授、小暮 真奈講師が実施し、本事業のワーキンググループメンバーの一人として中谷直樹教授が参画しました。
報告書のExecutive summaryは下記となります。
本事業では、職域健診での簡便な尿ナトカリ比測定と即時フィードバック、食環境改善と尿ナトカリ比に基づく保健指導を通じて集団全体の尿ナトカリ比に与える影響を検討することを目的とした。あわせて食塩チェックシート・カリウムチェックシートや 社員食堂等に関するアンケート(以下、チェックシート及びアンケート)を活用し、尿ナトカリ比が改善した集団の食行動の変化を評価した。 前期実施群では介入として健診会場での尿ナトカリ比の測定、チェックシート及びアンケートへの回答及び簡易保健指導(尿ナトカリ比結果返却含む)に加え、受託給食会社と連携し、食堂や売店等の実態に合わせた食環境整備を行った。 対照として後期実施群では健診会場での尿検体やチェックシート及びアンケートの回収を行った。
4企業7事業所の参加者のうち、データ欠損のない2,559名(前期実施群1,294名、後期実施群1,265名)を 分析した結果、前期実施群では後期実施群と比較し、主要評価項目である尿ナトカリ比の低下の程度が統計学的に有意に大きかった(−0.46;P<0.01)。また二次評価項目の推定一日カリウム摂取量の増加の程度も、前期実施群で 有意に大きかった(30 mg/日;P<0.05)。さらに、収縮期血圧の低下幅についても前期実施群で有意に大きかった(−0.93 mmHg;P<0.05)。食行動では、食塩の多い食品や味付けの濃い料理を控えていることや、野菜・いも・豆 類など副菜の摂取頻度の増加が尿ナトカリ比の有意な低下に寄与していることが示された。 社員食堂を中心とする職場の食環境整備を実施した結果、社員食堂で提供されるメニューの食塩相当量の減少や社員食堂に対する主観的評価の向上、社員食堂の利用頻度の向上といった変化が認められ、売店の食塩相当量の少ない商品や牛乳・乳製品などの利用増加や食行動の変化という中間アウトカムが改善し、尿ナトカリ比の低下及び血圧値の改善につながったことが明らかとなった。
以上より、特に疾病発症前の中壮年期において、職域健診の場を活用した尿ナトカリ比測定、測定結果に基づく簡易保健指導、及び食環境整備を組み合わせた介入の実施が、職域全体の減塩・カリウム摂取増加や尿ナトカリ比及び収縮期血圧の低下に寄与すると考えられる。また本事業により、職域健診の場を活用した尿ナトカリ比測定、測定結果に基づく簡易保健指導、及び食環境整備の組み合わせによる介入の手法と、その実現のためのノウハウを構築することができた。さらに、この尿ナトカリ比測定・簡易保健指導・食環境整備は、費用対効果に優れる介入である可能性も示された。職域集団全体の健康増進のため、本取り組みの実施・導入は一定の効果があると考えられる。