お知らせ
- 2026.04.13
リキッドバイオプシーとAIを用いた多がん早期検出および微小残存病変の臨床開発
リキッドバイオプシーとマルチオミクス解析、AIを活用し、多がん早期検出(MCED)と微小残存病変(MRD)の高精度化を目指す研究が開始されました。東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と国立がん研究センター東病院は毎年のように合同シンポジウムを開催するなど連携してまいりました。がん患者および非がん者の生体試料と臨床情報を統合解析することで、早期発見と再発モニタリングの精度向上が期待されます。
がんの早期発見と再発の精密なモニタリングは依然として大きな課題です。従来の検診は対象が限られ、多くのがんで有効な方法が確立されていません。血中バイオマーカーによる多がん早期検出(MCED)や、循環腫瘍DNAを用いた微小残存病変(MRD)の検出が注目されていますが、特に早期がんでは感度や特異度に課題が残されています。そこで、リキッドバイオプシーとマルチオミクス解析、AIを活用したMCEDおよびMRDの検出法の開発を行う枠組みの検討に取り組みました。
本研究では、がん患者および非がん者の臨床情報と生体試料を活用した観察研究を実施します。がん患者の試料はMONSTAR-SCREEN-3研究から、非がん者の試料はToMMoより取得します。解析では、全ゲノム解析(WGS)、全エクソーム解析(WES)、全トランスクリプトーム解析(WTS)に加え、プロテオミクス、メタボロミクス、さらに便や唾液を用いたマイクロバイオーム解析を実施します。これらのマルチオミクスデータをAIで統合解析し、新たな多がん早期検出(MCED)および微小残存病変(MRD)検査の開発と臨床性能の評価を行います。主要評価項目は、各検査の精度(感度および特異度)としています。
本研究により、マルチオミクスとAIを統合した新たな検査法の有用性が示されれば、がんの早期発見や再発モニタリングの精度向上に大きく貢献することが期待されます。今後は臨床応用に向けた検証を進めるとともに、個別化医療の実現や検診体制の高度化への展開が期待されます。
書誌情報
タイトル:Clinical development of molecular residual disease (MRD) and multi-cancer early detection (MCED) using liquid biopsy multiomics with artificial intelligence (AI).
著者名:Shibuki T, Yamashita R, Hashimoto T, Fujisawa T, Imai M, Yuda J, Kuwata T, Misumi T, Nakamura Y, Bando H, Kojima K, Tokioka S, Chiba I, Nakaya N, Hozawa A, Koshiba S, Fuse N, Saito S, Shimizu R, Park WY, Kinoshita K, Yoshino T.
掲載誌:Int J Clin Oncol.
掲載日:2026年3月6日
DOI:10.1007/s10147-026-03001-6.