お知らせ
- 2025.09.19
モバイルヘルスアプリを用いたドライアイ研究に関する論文が掲載
モバイルヘルスアプリを用いたドライアイ研究に関する論文が国際科学誌JMIR Research Protocols誌に掲載されました。ゲノム・オミックス情報も伴う大規模な研究でモバイルヘルスアプリを用いた眼科疾患を対象としたものは世界初です。
ドライアイは、多様な症状を伴う罹患率の多い眼疾患です。デジタル社会の拡大に伴い、罹患率、患者数はさらに増加する傾向にあります。現在の標準的なドライアイ治療は、点眼薬による対症療法であり、予測的、予防的、個別化医療が求められています。そのためには、Society5.0 時代の医療として、モバイルヘルス等を通じた個々人のリアルタイムデータ、生体センサリングデータ等の「新しい医療ビッグデータ」の収集・活用が必要です。
今回、モバイルヘルスアプリを用いて、ドライアイに関する自覚症状だけでなく、気温等の環境要因、モニター使用時間・コンタクトレンズ装用等の生活習慣要因等、包括的な情報を収集しました。東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査(センター型)にご参加の計2,800名の方々のバイオバンクに蓄積されたデータベースと統合し、多因子とドライアイの発症および進行との相互作用を解明する包括的な基盤を構築しました。
本研究により、ドライアイの新しい病型分類の確立とその発症または重症化に関わる疾患遺伝子多型の特定に向けた開発を促進することができます。多くの方々のQOL低下の要因であるドライアイに対する予防・個別化・予測・参加型の4つの柱からなる「P4 Medicine」という新たな治療戦略の基盤となることが期待されます。

モバイルヘルスアプリ(ドライアイリズム)の画面例
書誌情報
タイトル:Integration of Digital Phenotyping and Genomics for Dry Eye Disease: Protocol for a Prospective Cohort Study
著者名:Ken Nagino, Yasutsugu Akasaki, Nobuo Fuse, Soichi Ogishima, Atsushi Shimizu, Akira Uruno, Yoichi Sutoh, Yayoi Otsuka-Yamasaki, Fuji Nagami, Jun Seita, Tomohiro Nakamura, Satoshi Nagaie, Makiko Taira, Tomoko Kobayashi, Ritsuko Shimizu, Atsushi Hozawa, Shinichi Kuriyama, Atsuko Eguchi, Akie Midorikawa-Inomata, Masahiro Nakamura, Akira Murakami, Shintaro Nakao, Takenori Inomata
掲載誌:JMIR Research Protocols
掲載日:2025年5月12日
DOI:10.2196/67862
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