成育疾患克服等総合研究事業(BIRTHDAY)(2019~2023年度)

研究開発事業名

事業名:成育疾患克服等総合研究事業

課題名:出生コホート連携に基づく胎児期から乳幼児期の環境と母児の予後との関連に関する研究(2019年度~2023年度)

背景

AMEDの成育疾患克服等総合研究事業では、科学の急速な発展に伴い生じている倫理・社会的な問題も視野に入れ、子どもの健全な育成を保障する持続可能な社会基盤の強化のため、Biopsychosocial なアプローチにより、疾患や障害の予防・診断・治療法の開発、母性及び児童の健康の保持増進等に資する研究開発を推進しています。
東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査では、2019~2023年度の5年間に渡り委託研究開発課題として他の出生コホート研究と協力して、「出生コホート連携に基づく胎児期から乳幼児期の環境と母児の予後との関連に関する研究」を実施いたしました(研究開発代表者 栗山 進一 教授)。

出生コホートコンソーシアム(the Japan Birth Cohort Consortium: J-BiCC)の構築

本研究開発課題では、国内の出生ゲノムコホート研究の連携に向けた検討を進め、連携基盤を構築・更新・拡大することを推進してまいりました。その中で、国内で実施されている出生コホートの研究に携わっている関係者間で、評価指標に関する知見を共有することや重要な社会課題について参加コホートの統合メタ解析を実施することを目的に日本の出生コホートコンソーシアム(J-BiCC)を立ち上げました。本コンソーシアムでの連携により、三世代コホート調査では1歳時のスクリーンタイムの長さが、2歳時および4歳時のコミュニケーション領域および問題解決領域の発達の遅れと特異的に関連していたことを明らかにしました。

周産期合併症克服のためのリスク因子および予後の検討

三世代コホート調査では、喫煙と妊娠高血圧症候群(HDP)との関連や在胎不当過小(SGA)リスク増加の各種関連要因の人口寄与危険割合について解析結果を共有し、成育医療研究センターで統合解析が実施されました。統合解析の結果、日本人では喫煙とHDPに正の関連があることが示され、SGAについては妊娠前の低体重、妊娠中の体重増加、妊娠中の喫煙継続が特に関連していることが明らかになりました。HDPについては本研究開発課題で明らかとなった関連要因を基に三世代コホート調査で開発されたリスク予測モデルへの追加を検討しました。
また、東北大学では、三世代コホート調査や他の出生コホート研究との統合解析(総計29,197名の妊婦さん)、妊婦さんの年齢とは独立して、不妊治療が妊娠高血圧症候群の発症に関連していることを明らかにしました。

この課題からの主な研究成果

1歳時のスクリーンタイムが2歳・4歳時点の発達特性の一部と関連【プレスリリース】

妊娠中の喫煙は妊娠高血圧症候群のリスクを高める 欧米と相反する結果が、全国出生コホートコンソーシアムからの初成果で明らかに【プレスリリース】

妊娠中の血圧管理状況とお子さんの出生時の健康状態について報告した論文が掲載

予防的な早期介入を目指した妊娠高血圧症候群の早期発症予測モデルを開発し、論文で発表

不妊治療は年齢によらず妊娠高血圧症候群と関連することを明らかにした論文を発表しました