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2015.07.06

佐藤行人助教らの論文がPLoS ONE誌に掲載されました

 

東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)ゲノム解析部門の佐藤行人助教(ゲノム解析部門バイオメディカル情報解析分野)、山岸潤也助教(現・北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)、バイオバンク部門の山下理宇准教授らは、口腔内バクテリアの遺伝子を分析し、各個人の口腔バクテリア叢(そう)は比較的安定して存在していること、一日内の変動は個人間の差よりも小さいことを示しました。成果はオンライン学術誌PLOS ONEに、6月29日付で公開されました。

虫歯や歯周病などの代表的な口腔疾患が、口腔バクテリア叢とどのように関係しているかを解明することは、それらの口腔疾患の原因を解明し予防等につなげるために重要な課題ですが、これまで得られている知見はまだ多くありません。

東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査では、地域支援センターで調査に協力してくださった方々から、口腔プラークと唾液の検体を提供していただいています。この検体群を更なる解析に活かしていくためには、その検体から得られるバクテリアが、採取日時に依らず個人の特性を反映しているかどうか、まず確かめる必要がありました。

今回の研究では、1日3回・5時間おきに口腔プラークをテスト採取し、口腔バクテリア叢の変動をDNA解析しました。その結果、98%の細菌種は、日内の時間に依らず安定して存在することが明らかとなりました。そのような安定性の証拠として、既知の口腔バクテリア相互作用関係を40ペア以上、正しく推定することが出来ました。

本結果から、大規模コホート調査における口腔検査のように、検体採取時刻が必ずしも一定しない場合であっても、提供していただいた検体群を活用して歯科疾患とバクテリアの関係を解析することが可能だと考えられます。

当機構では、今後、本結果をもとに、口腔内のバクテリア叢のメタゲノム解析なども検討し、多くの口腔疾患の解明に向けた取組を進めて参ります。

【書誌情報】
Sato Y*, Yamagishi J*, Yamashita R*, Shinozaki N, Ye B, Yamada T, Yamamoto M, Nagasaki M, and Tsuboi A., (*equally contributed) 
Inter-individual differences in the oral bacteriome are greater than intra-day fluctuations in individuals PLOS ONE. 2015, 10(6): e0131607.