2021(令和3)年度の成果

※2022年4月1日時点の情報です。

1. 長期健康調査

7月より詳細三次調査を開始し、新型コロナウイルス感染対策を講じたうえで2021年3月末までに8,919人の参加者を得ました。この調査では、新たに記憶力・思考力の検査やCOVID-19抗体検査等を追加しました。
詳細三次調査開始のプレスリリース「より長くそして手厚く住民の健康を見守り健康長寿社会をつくる」(2021/7/14)

詳細三次調査による成果としてCOVID-19抗体検査に参加された約3千人の結果を発表しました。
発表時のプレスリリース「新型コロナウイルスワクチンによる抗体産生」(2022/2/9)

また、2021年度より調査に三種のスマートフォンアプリ(ToMMoバイタルアプリ・、マイToMMo・ドライアイリズム)を導入しました。
スマートフォンアプリを長期健康調査に導入(2021/10/13)
2021年3月末までの延べ参加人数は2,296人でした。

2. ゲノム・オミックス等の解析

総計10万人分の全ゲノム解析データの構築を目指して、製薬企業5社との連携による「全ゲノム情報と医療・健康情報の統合解析コンソーシアム」を発足し、2021年3月末までに約4万人のシークエンス解析を完了しました。
コンソーシアム設立のプレスリリース(2021/7/7)

jMorpによる公開ゲノム情報では全ゲノムリファレンスパネルを14KJPNに拡大、基準ゲノム配列JG2.1を発表、さらに新たに構造多型のデータベースやショーケースGWASを公開しました。オミックス情報は、メタボローム解析情報を4.6万人(経時情報は2.9千人)に拡大しました。
その他、薬剤感受性情報や臍帯血DNAメチル化情報(詳細)等を公開しました。
メタボローム、ショーケースGWAS、薬剤感受性情報のプレスリリース(2021/9/30)
14KJPN、JG2.1、構造多型データベースのプレスリリース(2021/12/8)

また、日本人全ゲノムリファレンスパネル8.3KJPNのアレル頻度のデータがdbSNPにて公開(詳細)されたことにより、今後国際的な利用の促進も期待されます。

解析情報の共有のほかに、未来型医療創成センターにより9月から運用されているクライオ専用透過型電子顕微鏡等、解析機器の共有も進めています。
クライオ専用透過型電子顕微鏡を設置(2021/9/7)

3. 試料・情報の利活用

2021年3月末時点で保有試料数は延べ284,400人分4,257,200本となりました。2021年度は、62,699本のDNA、13,913本の血漿、2,079本の血清が利活用のために出庫されました。
調査参加者15万人すべてが対象となっている分譲データについて、経時情報を追加するなどますますの充実を図りました。
地域住民コホート特定健診相乗り型分譲対象にメタボローム情報を追加(2021/5/13)
三世代コホート調査全体の分譲対象に複数回参加の対象者の情報を追加(2021/11/25)

2021年度の試料・情報の分譲状況は、申請手続き中のものが16件、分譲委員会承認済みのものが、分譲案件20件、共同研究案件35件でした。

その他、産学連携の推進としてコンソーシアム設立、主に産業界向けの利活用促進のための検索システムの構築等を行いました。
全ゲノム解読を推進するための産学連携の統合解析コンソーシアムを設立
コホート横断検索システムカタログの構築を発表

4. 2021年度に発表した主な論文

2021年度は、特にコホート調査から多くの論文(主要な論文約40本中19本)を発表することができました。2013年から継続している調査の価値が顕在化し始めているものと思います。解析ではToMMo内外を問わず、引き続き解析データを利用した論文が発表されています。特にGWASのコントロールとして活用される例が一層増えてきました。研究基盤を担う組織として、研究デザイン論文が多いのも当機構の特徴です。

論文例
コホート調査から

夫婦ペアを対象にした生活習慣、医学検査値、疾病の類似性研究
産後1年時の産後うつ研究
母親のパーソナリティと他要因(妊娠中の飲酒産後のメンタルヘルス)との関連研究

ゲノム解析から(GWASの例)

アレルギー疾患に関連する遺伝子変異の発見
呼吸器疾患に関連する遺伝子座の同定

TMMの解析結果を用いた外部の研究者による研究

様々な民族集団にまたがるメタGWAS
疾患の精密分類にメタボロームGWASデータを利用

デザイン論文

ジャポニカアレイ® NEO
遺伝情報回付事業
統合データベースdbTMM

国際的な連携から

GA4GHの活動

5. その他の成果

その他、国際的な連携の推進等を行っています。以下のような国際シンポジウムを5回開催しました。
知のフォーラム シンポジウム「Expanding the Potential of Large-scale Cohort Studies Through UK-Japan Collaboration」
知のフォーラム シンポジウム「Difference of Lifestyles Between USA and Japan」