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2017.05.17

妊娠高血圧症候群における「酸化ストレス」の意外な役割 〜酸化ストレスが病態を改善する〜【プレスリリース】

東北大学の祢津昌広 助教(東北メディカル・メガバンク機構 地域医療支援部門)、相馬友和 研究員(医学系研究科 医化学分野・現ノースウェスタン大学)、鈴木教郎 准教授(医学系研究科 酸素医学分野)、山本雅之 教授(医学系研究科 医化学分野・東北メディカル・メガバンク機構長)らのグループは、妊娠高血圧症候群の原因のひとつとされていた「酸化ストレス」が、妊娠高血圧症候群を発症している母体や胎児の病態を改善することを発見しました。また、酸化ストレスが胎盤の発育を保つことで、妊娠高血圧症候群における胎児の成長を維持することをマウスを用いた研究により明らかにしました。

酸化ストレスは生体に悪影響を及ぼすとされてきましたが、今回の研究成果により、酸化ストレスの意外な一面が提唱されました。妊娠高血圧症候群は妊婦の3~5%の高頻度で発症しますが、不明な点が多く、治療法が確立されていない疾患です。本研究の成果により、妊娠高血圧症候群の病態が解明され、新たな治療法の開発が進められることが期待されます。

本研究結果は、米国東部時間2017年5月16日に米国科学雑誌「サイエンス・シグナリング」のオンライン版で公開されました。

 

 

図:研究成果の概要
妊娠高血圧マウスでは、胎盤の血管が減少することが知られていましたが、妊娠高血圧マウスの酸化ストレスのレベルを下げたところ、さらに胎盤の血管が減少し、死亡率が増加しました。一方、酸化ストレスのレベルを上げたところ、胎盤の血管が増加し(右の写真)、死亡率を低下させました。これらの結果から、妊娠高血圧症候群では、酸化ストレスが胎盤の血管を増加させ、母体と胎児の病態を改善することがわかりました。

 

【論文名】
Nrf2 inactivation enhances placental angiogenesis in a preeclampsia mouse model and improves maternal and fetal outcomes
(Nrf2の不活性化は妊娠高血圧症候群モデルマウスの胎盤における血管新生を促進し、母体と胎仔の症状を改善する)
Masahiro Nezu, Tomokazu Souma, Lei Yu, Hiroki Sekine, Nobuyuki Takahashi, Andrew Zu-Sern Wei, Sadayoshi Ito, Akiyoshi Fukamizu, Zsuzsanna K. Zsengeller, Tomohiro Nakamura, Atsushi Hozawa, S. Ananth Karumanchi, Norio Suzuki, Masayuki Yamamoto
掲載誌: Science Signaling

プレスリリース詳細(PDF)

 

酸化ストレス:活性酸素種などの細胞に傷をつける分子が細胞内に溜まった状態。本研究グループでは、Nrf2というタンパク質が酸化ストレスを除去する重要な役割を担っていることを世界に先駆けて発見し、研究を進めています。今回の研究では、Nrf2の遺伝子改変やNrf2活性化剤投与の手法によって、妊娠高血圧マウスにおけるNrf2の活性を変化させ、酸化ストレスのレベルを操作しました。

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