河北新報 リレーエッセー 医進伝心 第4回

バイオマーカーがもたらす先進医療/分子を通して体を診る

2014年4月16日 掲載
田邉修

バイオマーカーという言葉をご存じですか? バイオは英語で生き物、マーカーは指標という意味です。バイオマーカーはもともと生き物の状態を示す指標でしたが、今ではおもに病気のリスクや進行度を反映して変化する指標を意味します。病院で受ける尿や血液の検査は、実はバイオマーカーを調べているのです。
かつて医者は、自らの経験を頼りに問診と診察のみで病気の診断をしなければなりませんでした。現代医療にバイオマーカーは欠かせず、医学の進歩の歴史はバイオマーカー開発の歴史と重なります。
血圧など生理的な状態を示すデータや、エックス線検査などの画像データも広義のバイオマーカーに含まれますが、近年はバイオマーカーと言うと一般に分子マーカーを指します。これは尿や血液などに存在する物質の測定値や分析データのことです。
例えば血液検査のバイオマーカーとしては、肝障害がある時に上昇するGOT、GPTや、動脈硬化症のリスクを示すコレステロールがあります。病気になりやすい状態であったり、実際に病気にかかったりした際、尿や血液中に増加あるいは逆に減少する物質を見つけることができれば、バイオマーカーとして利用することができます。
最近では、遺伝子の検査によって、病気へのかかりやすさを予測することも可能になっています。これも一種のバイオマーカーです。良いバイオマーカーがあれば、病気を予防したり早期発見したりするのに役立ちますし、個人の体質や生活習慣に応じて最適な医療を提供する個別化医療のためにも重要です。
東北メディカル・メガバンク事業で参加者の方々から提供を受けた血液や健康情報などは、このようなバイオマーカーの開発と研究のためにも活用させていただいています。

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