バイオバンク利用プロセスを取りまとめた我が国初の試み -バイオバンク利活用ハンドブック発行-

我が国には東北メディカル・メガバンク計画で運用しているものをはじめ、多数のバイオバンクがあります。バイオバンクは、その設立目的や収集・保管している試料・情報の種類、利活用の形態など、多様なバリエーションがあります。多様であることは、利活用を希望する研究者にとっては広い選択肢がありますが、一方で、求めている試料・情報の条件に合うものの有無やそのコンタクト先までたどり着かない可能性などの課題もあります。

最近の医学研究では、試料・情報の質と量が重要視されることが多くなっています。患者さんや健康な方々の試料や情報を一括管理しているバイオバンクの利活用が一層活発になることを通じて、研究成果に繋がっている例もありますが、これまでに我が国のバイオバンクの利用プロセスを俯瞰的に取りまとめる試みはありませんでした。
2021年3月末に発行されたバイオバンク利活用ハンドブック第3版は、国内の主要な12のバイオバンクの協力を得てまとめられた、いわばバイオバンク利活用のためのバイブルです。本ハンドブックの制作過程で多数のバイオバンクの担当者間での活発な交流を促進し、バイオバンクへの新規参加の同意取得プロセスの標準化や各種審査をバイオバンク間で均質化する議論にもつながっています。

バイオバンク利活用ハンドブック第3版 表紙

本書ではバイオバンクとは何かに始まり、その使い方や、それぞれの特徴と違い、更には運営におけるノウハウや留意点までを説明しています。バイオバンクについての知識がなく初めてヒト由来試料・情報を使うことを考えている研究者から、既にバイオバンクの利活用を経験した上で更なる利活用を考えている研究者、またバイオバンクの新規設置や運用の拡大を考えている研究機関等にとっても、役立つ内容となっています。
こちらから自由にダウンロードでき、FAQ(よくある質問)も網羅している本書の内容に従ってバイオバンクを活用し、準備を進めていただくことでバイオバンクの試料・情報を使った研究がスムーズに進むことと思います。

研究者の方々に本ハンドブックを積極的に利活用いただき、多くの協力のもと提供いただいている試料・情報が、未来の医療に役立つことが期待されます。

関連リンク

バイオバンク利活用ハンドブック第3版の発行 ~日本全国のバイオバンクの利活用を進めるための、利用者向けの情報とともに運営者側のノウハウも網羅した総合ガイドが完成〜【プレスリリース】

(2021年6月9日)