コホート調査における遺伝情報回付

東北メディカル・メガバンク計画で行うコホート調査では、参加者の方々から調査でご提供いただいた血液からDNAを抽出し、その配列を解読する遺伝情報解析を行っています。この解析を通じて得られたデータは、千人単位でまとめられた統計情報となり、さまざまな形で多くの研究者に利用されています。
参加者の方々の遺伝情報解析の結果は、多様な研究の進展に役立てられるだけでなく、個別に、それぞれの参加者の方々の健康に役立てられるようにお伝えする(回付)ことがあります。しかしながら、遺伝情報解析の結果を、大規模な研究の枠組みで個々の参加者の方々にお伝えするのは、日本では例がなく、海外を含めても数少ない事業です。本ページで、コホート調査の参加者の方々への個人の遺伝情報解析の結果回付について、検討の経緯や計画の概要についてお知らせします。

 

1 遺伝情報の回付についての検討の背景

1-1 三省によるゲノム指針の改訂

研究においてヒトの遺伝情報を扱う上で従うべきルールは多々ありますが、最も重要なものの一つが、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(以下、ゲノム指針)です。文部科学省、厚生労働省、経済産業省の三省によるもので、平成13年に最初に定められましたが、ちょうど東北メディカル・メガバンク計画が具体的な事業開始に至る直前の平成25年2月に全面改定版の施行がありました。そこでは、遺伝情報の開示について特に一章が設けられ「提供者が自らの遺伝情報の開示を希望している場合には、原則として開示しなければならない」とされた上で、開示しない場合の条件が示されました。東北メディカル・メガバンク計画ではこの規定に基づき、検討しました。

1-2 住民のみなさまの健康への貢献と次世代医療の実現

上記の通り、指針上は、遺伝情報の開示は「原則」とされましたが、多くの研究プロジェクトでは、指針に別途書かれている条件をもとに、「開示しない」とすることが通例になってきました。指針に示される条件のうち、「当該研究を行う機関の研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがあり、かつ、 開示しないことについて提供者のインフォームド・コンセントを受けている場合には、その全部又は一部を開示しないことができる」という項目に該当するものとしています。
東北メディカル・メガバンク計画では、そもそもの目的の一つを次世代型医療としての個別化医療・個別化予防の基盤をつくることにおいています。個別化医療・個別化予防は、遺伝子の情報に基づいて適切に医療・予防を選択することがその主眼の一つであり、その実現にあたっては、一人ひとりが自らの遺伝情報について正しく知ることが欠かせないものです。そうした計画の目標を勘案し、当計画ではコホート調査への参加時のインフォームド・コンセントにおいて、遺伝情報に関する結果を個々の参加者の方々にお伝えすることについて、完全に否定せず、準備が完了したらお伝えすることがあるとする、という選択をしました。
また、本計画は、東日本大震災後の復興プロジェクトであり、被災者を含む方々がコホート調査の参加者に必然的に含まれることから、可能な限り多くの成果を直接的に参加者の方々に還元する道を開いておきたいとも考えました。
しかしながら、これまで他の内外の研究プロジェクトで遺伝情報の参加者への開示を行ってこなかったこともあり、開示の実現には幾多の困難と課題があることが予想されました。そこで、東北メディカル・メガバンク計画では、日本全国の有識者にお諮りした上で、インフォームド・コンセントにおいて、遺伝情報解析に基づく結果を調査への参加者の方々にお返しできる条件を厳密に定めました。また、ゲノム情報の膨大で解釈の難しい配列情報を全てそのままお渡しすることは現実的ではないと考え、それをイメージさせる開示という言葉ではなく、回付という言葉を用いています。

2 遺伝情報の回付についての検討の経緯

東北メディカル・メガバンク計画におけるインフォームド・コンセントでは、遺伝情報の回付について以下のように記載しています。

―――引用(10.検査結果及び解析研究から得られた成果について の中で)―――
本研究では、みなさまの遺伝情報について、解析研究を行うことも予定しています。本研究に参加された方が希望される場合には、両大学が共同で設置する「遺伝情報等回付検討委員会」の審査を経たうえで、遺伝情報の回付を行うこともあります。しかし、遺伝情報は、その人の健康状態を評価するための情報としての精度や確実性が十分でない場合があり、また、その情報を回付することによって、みなさまや血縁者に精神的負担を与えたり、誤解を招く可能性があります。特に三世代コホートでは、予期せぬ親子関係が明らかになるケースなども想定されます。 したがって、回付の決定にあたっては、下記の4項目を十分に配慮することとし、回付をしない場合もあります。
(1)その情報がみなさまの健康状態を評価するための情報としての精度と確実性を有していること
(2)その情報がみなさまの健康にとって重要な事実を示すものであること
(3)その情報を回付することで、研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがないこと
(4)その情報がみなさまの生命や健康に重大な影響を与えることが判明した場合には、有効な治療方法があること
なお、回付の準備が整いましたら、回付のご希望の有無について、お問い合わせさせていただきます。また、遺伝情報の回付につきましては、ヒトゲノム・遺伝子解析研究を実施している他の研究機関との間で密な情報共有を図ることといたします。
―――引用終わり―――

ここに挙げた記載は、先に述べたゲノム指針にある記載をほぼそのまま踏襲しており、回付を実際に行うにあたっては、(1)回付する情報の精度と確実性(専門用語では、Analytical Validity 分析的妥当性と表現されます)、(2)健康にとって重要(専門用語では、Clinical Validity 臨床的妥当性と表現されます)、(3)研究に支障をきたさないこと、(4)有効な治療法があること(専門用語では、actionableと表現されます。Clinical Utility 臨床的有用性という概念の中で一歩進んだ要件です)を4つの条件にあげています。

また、引用したインフォームド・コンセントの記載において、「回付の準備が整いましたら、回付のご希望の有無について、お問い合わせさせていただきます」とあるところの「準備」ですが、東北大学と岩手医科大学では、以下の件が大切と考えてきました。
 ・回付可能な情報をさまざまな見地から適切に選定すること
 ・その情報を回付することで対象者の方々に不利益が生じないこと
 ・その情報が回付されることを対象者の方が望んでいることを確認できること
 ・その情報を回付することで、対象者の方がその情報を健康のために活かす手段がありまた、両大学がその紹介などができること

上記の準備のおおよそが整ったと両大学で判断した段階で、まず、少人数の方々を対象に、状況を丁寧に確認しながら試験的な回付を開始したいと考えました。そして、それらの準備を行うために次節で述べる検討体制を構築し、検討してきました。

3 検討の体制(遺伝情報等回付検討委員会など)

両大学では、本遺伝情報回付について、両大学で、また、学外の専門家に審議を依頼するなどして、議論を重ねてきました。
まず、前節で述べた遺伝情報回付に関するインフォームド・コンセントについては、東北メディカル・メガバンク計画について発足当時に当計画の推進委員会(文部科学省に設置)によって検討された「東北メディカル・メガバンク計画全体計画」に基づいて設置された、倫理・法令全国ワーキンググループの議論によって案が作られました。そして、両大学に設置された倫理委員会での審議を経て、当計画のコホート調査において採用されました。
その後、具体的な回付の準備に向けた検討にあたっては、まず、両大学内で、回付のための条件などを整理してきました。それに続き、東北大学と岩手医科大学で、多部門にわたる検討のためのタスクフォース(TF)を組織し、会合を重ねながら、報告書を作成しました。同報告書をもとに、両大学により組織され、主に両大学外の専門家によって構成される遺伝情報等回付検討委員会に議論を依頼しました。
遺伝情報等回付検討委員会は、インフォームド・コンセント内で以下のように言及されています。

―――引用(2.事業の推進体制および東北大学・岩手医科大学の役割 の中で)―――
iv)遺伝情報の返却(回付)の決定は、両大学によって設置される遺伝情報等回付検討委員会の審査を経たうえで、各大学が回付の決定を行うものとします。なお、遺伝情報等回付検討委員会は、両大学関係者以外の第三者も含む組織とします。
―――引用終わり―――

遺伝情報等回付検討委員会は、東北大学と岩手医科大学が構成する東北メディカル・メガバンク計画推進合同運営協議会のもとに設置され、信州大学教授で日本人類遺伝学会の理事長を2011年から2015年まで務められた福嶋義光委員長以下、10名の委員から成ります。2015年5月に第1回会合を開いて以降、数か月に1度のペースで議論を重ね、2016年3月の第4回会合において遺伝情報回付パイロット研究の計画を承認しました。

4 委員会の議論の論点

遺伝情報等回付検討委員会では、両大学によるタスクフォースでまとめられた論点をもとに、議論が行われました。まとめられていた論点は主に、以下の8点からなります。
1.ゲノムコホート研究においての遺伝情報の回付
2.再連結の手順とそのシステムの確立
3.同意と再検査の必要性
4.回付する遺伝情報の選定
5.病的変異の解釈
6.遺伝情報の回付の対象範囲
7.回付の実際における課題
8.研究参加者との遺伝情報回付の連携
特に1については、我が国で未だバイオバンクを基盤としたゲノム研究においての個人に遺伝情報をお伝えする前例がなかったことから、東北メディカル・メガバンク計画が国内において先駆的な役割を果たさねばならず、より慎重な議論が必要となる前提として、委員会の共通認識とされました。遺伝情報等回付検討委員会は、単に個別の回付の是非を検討するだけでなく、回付に関してのポリシー、方向性についても所掌事項として議論検討することとされています。
2に挙げられた「再連結の手順とそのシステムの確立」については、しっかりとした情報管理の体制とフローの構築、及びそのための組織体制の整備が求められること、3の「同意と再検査の必要性」においては、説明同意文書において回付の準備が整った段階で参加者に再連絡を定義しており、再同意を得ることが必要として、その方法や手順について検討されました。またその際に、「知らないでいる権利」の担保も重要な論点とされました。
4の「回付する遺伝情報の選定」では、以下9項目が具体的に挙げられて、諸外国の例なども参考に議論が行われました。
a. 本計画の目的である個別化医療・予防に関連する(目の色などの明らかに健康に関連しない形質は候補ではない)
b. 回付遺伝子は、現状では、多因子疾患においては、リスクや介入方法が確立されていないので、単一遺伝子とPGx(薬物応答に関する遺伝子情報)の両者を平行して検討する
c. 臨床的妥当性、臨床的有用性が確立している
d. 医療として対応法がある(actionable)
e. 回付対象数が現実的に対応可能な範囲である
f. 検証が容易である(再検査が可能)
g. 決定の段階から回付しようとする疾患の専門家が関与する
h. 回付後の医療の受け皿、フォローアップがあること
i. 初めはパイロット研究としてスタートして、検証を行いながら進める
5の「病的変異の解釈」は、高度に専門性の高い慎重な作業を行うにあたっての体制整備などが議論され、6の「遺伝情報回付の対象範囲」については、当計画における解析範囲が必ずしも全参加者を対象としていないために、不公平性等を生じさせない計画の検討が求められました。7の「回付の実際における課題」では、具体的な予算や組織体制、大学病院・地域の医療機関とのコンセンサスと協力などが課題として挙げられ、また8の「研究参加者との遺伝情報回付の連携 」においては、対象者と密な関係を構築していくことの重要性も提起されています。

5 委員会の議事録等

遺伝情報等回付検討委員会は、2015年5月から2019年3月までに10回の開催を重ねています。開催日時等は以下の通りです。

  開催日時 主な議題
第1回 2015年5月29日 東北メディカル・メガバンク計画における回付の位置付け、及び遺伝情報回付に係る論点整理
第2回 2015年9月28日 倫理・法令面での検討、引き続き論点整理及びパイロット研究のあり方について
第3回 2015年12月16日 遺伝情報回付のためのパイロット研究の素案について
第4回 2016年3月30日 遺伝情報回付のためのパイロット研究計画について
第5回 2016年10月5日 東北メディカル・メガバンク計画の第2段階の概要と遺伝情報回付に関して、及び遺伝情報回付に関してのパイロット研究について
第6回 2017年3月29日 遺伝情報回付に関してのパイロット研究の進捗と東北メディカル・メガバンク計画第2段階における遺伝情報回付の計画について
第7回 2017年11月2日 FH パイロット研究第一期・第二期の進捗と東北メディカル・メガバンク計画第2段階でのパイロット研究について
第8回 2018年6月11日 FH パイロット研究の進捗と東北メディカル・メガバンク計画第2段階でのパイロット研究について
第9回 2018年12月4日 東北メディカル・メガバンク計画第2段階でのパイロット研究とFH パイロット研究の進捗について
第10回 2019年3月4日 東北メディカル・メガバンク計画第2段階におけるパイロット研究について
第11回 2019年9月2日 表現型が本人に明らかではない遺伝情報の回付のパイロット研究計画について
第12回 2020年2月17日 ファーマコゲノミクス(PGx)の遺伝情報の回付計画について
第13回 2020年7月29日 ファーマコゲノミクス(PGx)の遺伝情報の回付研究の進捗について
第14回 2020年11月2日 ファーマコゲノミクス(PGx)の遺伝情報の回付研究の進捗と遺伝性腫瘍に関する情報回付の計画について

それぞれの開催の議事要録について、委員確認を経たものは以下に公開します。
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回
また、2016年に開始した第一回のパイロット研究の計画は、第4回の遺伝情報等回付検討委員会で承認された後、東北大学及び岩手医科大学の倫理委員会で審議されています。
東北大学東北メディカル・メガバンク機構倫理委員会
岩手医科大学医学部倫理委員会

6 パイロット研究

2016年に開始した第一回のパイロット研究では、議論を経て、対象疾患を家族性高コレステロール血症としました。上述「4 委員会の議論の論点」にある通り、健康に重要であると共に、その遺伝子変異について病気の発症との関係が既に示されており、また、治療法があることが主な理由です。
第一回のパイロット研究の対象者は既に臨床的な症状を有する方としました。つまり、コホート調査における血液検査等でコレステロール値が高いか、あるいは、治療歴があることをアンケート調査で自己申告された方が対象となる必須条件の一つとなります。対象者を選定する時点では、ゲノム解析情報の結果は参照されず、その後、インフォームド・コンセントを経た方に再検査を行い、対象とする変異の有無を問わずに、結果を対象者に回付するプロトコルとしました。
2019年8月には第二回のパイロット研究として、医薬品の反応性に関する遺伝情報の結果を、希望する方に返却する研究を開始しました。医薬品の効果や副作用の現れ方は、私たちのもっている遺伝子の情報のほんの少しの違いや特徴によって決まることがわかっています。このような医薬品に対する反応性の遺伝的個人差をファーマコゲノミクス(PGx)といいます。第二回のパイロット研究では、国際的なガイドラインやランク付けなどの情報を元に、その中でも特に重要な3つの遺伝子について、遺伝子に変化があるかどうかをお調べし、医薬品に対する反応の違いの傾向(医薬品反応性)をお伝えします。医薬品に対する反応の違い(医薬品反応性)に関する情報を持っておくことで、該当する医薬品を使用するときに、副作用を予防したり、より効果的で、より安全な治療に役立てたりしていただくことが可能になります。
2020年~2021年には第三回のパイロット研究を実施しています。

詳細な研究計画については、対象者向けのパイロット研究紹介のページをご参照下さい。
第一回パイロット研究:家族性高コレステロール血症
第二回パイロット研究:医薬品の反応性に関する遺伝情報

7 遺伝情報回付研究

8 関連研究と参考資料

東北メディカル・メガバンク計画では、コホート調査の参加者の方々がご自身の遺伝情報について、そもそもお知りになりたいか、また、その際にどのような方法でお知りになりたいか、などについてを中心に調査研究を行いました。調査研究では、遺伝情報の特質などについて講義形式でお知らせする「いでん講習会」も行い、講習会受講前後での意識・知識の変化などについても調査しています。講習会は岩手医科大学のメンバーが中心となって行い、結果は学会等で報告されています(山本ほか、日本遺伝カウンセリング学会 2015)。
 遺伝情報の回付における対象となる遺伝情報の選定にあたっては、アメリカ臨床遺伝学会(ACMG)が数年前に出したガイドライン等を参考にしました。当ガイドラインで挙げられていた56遺伝子24疾患については、我が国において臨床検査対応や保険収載等がどのようになっているかの状況調査を行いました。本調査は東北大学の遺伝情報回付推進室のメンバーが中心になって行い、結果は学術論文として日本遺伝カウンセリング学会学会誌に掲載されました。(ISSN 1347-9628, Jpn J Genet Counsel, 37(3): 105-126 2016)

また、遺伝情報の回付にあたって特に参考にしたのは以下の団体・研究等です。

ACMG recommendations for reporting of incidental findings in clinical exome and genome sequencing: ACMG Policy Statement

Standards and guidelines for the interpretation of sequence variants: a joint consensus recommendation of the American College of Medical Genetics and Genomics and the Association for Molecular Pathology

ClinSeq: “The ClinSeq Newsletter Vol.10, summer 2015”, National Human Genome Research Institute website.

Presidential Commission for the Study of Bioethical Issues: “Anticipate and communicate: Ethical management of incidental and secondary findings in the clinical, research and direct-to-consumer contexts, Presidential Commission for the Study of Bioethical Issues website.

Haukkala A, Kujala E, Alha P et al.: The return of unexpected research results in a biobank study and referral to health care for heritable long QT syndrome. Public health genomics, 16:241-50, 2013.

Anderson RL, Murray K, Chong JX et al.: Disclosure of genetic research results to members of a founder population. Journal of genetic counseling, 23:984-91, 2014.

堀内泰江、浄住佳美、松林宏行ら:臨床ゲノム研究における偶発的所見の結果開示,遺伝カウンセリングの取り組みとその課題―静岡がんセンタープロジェクトHOPEの例.日本人類遺伝学会第60回大会,2015.

研究代表者高坂新一:厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業 メディカル・ゲノムセンター等における個人の解析結果等の報告と、公的バイオバンクの試料・情報の配布に関する論点整理と提言 平成25年度 総括・分担研究報告書 ナショナルセンター・バイオバンクネットワークプロジェクトホームページ

Wolf SM, Crock BN, Van Ness B, et al. Managing incidental findings and research results in genomic research involving biobanks and archived data sets. Genet Med. 14(4):361-84, 2012.

Knoppers BM, Deschênes M, Zawati MH et al. Population studies: return of research results and incidental findings Policy Statement. Eur J Hum Genet. 21(3):245-7, 2013.

Jarvik GP, Amendola LM, Berg JS et al. Return of genomic results to research participants: the floor, the ceiling, and the choices in between
Am J Hum Genet.94(6):818-26, 2014.

Knoppers BM, Zawati MH, Sénécal K. Return of genetic testing results in the era of whole-genome sequencing. Nat Rev Genet. 16(9):553-9, 2015.