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河北新報 リレーエッセー 医進伝心 第32回

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  • ゲノム医療の実現がつくりだす未来/自分に合う助言で予防

    2015年6月17日 掲載
     新井知彦

    「病気になったらお医者さんに診てもらう」、これが現在の一般的な考え方だと思います。しかし「病気になる前にお医者さんに診てもらう」、それがゲノム医療の考え方です。
    がんなど一部の病気では、発症後にゲノム情報を活用した診断や治療法の選択が行われています。しかしゲノム医療の究極の目標は、病気とゲノム情報や生活習慣の関係を解明して、発症前に一人一人の健康維持に役立つアドバイスを提供し、その人にあった予防や医療を実現することです。これが実現すれば、個人の健康維持の強い味方となるだけでなく、国の医療費削減も期待できます。
    今や日本を含め、世界各国がゲノム医療実現を目指す研究の推進を重点施策に位置づけており、世界中の研究者がしのぎを削っています。10年ほど前までは数年間かかったヒトの全ゲノム解読が、現在では数日間でできるようになりました。また、病気に関係する遺伝子が数多く報告されるなど、科学の進歩は目を見張るものがあります。
    ただし、個人のゲノム情報をもとに健康維持に必要な情報を実際に提供するには、その情報の精度が高いこと、既に有効な治療方法があること、個人情報の適切な管理、遺伝カウンセリングの充実に加え、コストを考えることも必要です。
    ゲノム医療実現という光明は見えてきました。後はこの光に向かって、このような課題に丁寧に取り組んでいくことです。自分に合ったアドバイスをもらって病気を予防し、病気になっても自分にあった医療が提供される。そんな日が来るのもそう遠くないことかもしれません。
     
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