ゲノム医療実現推進プラットフォーム事業 先端ゲノム研究開発(GRIFIN)

背景

AMEDが実施するGRIFINでは、多因子疾患を対象として、遺伝要因や環境要因が疾患の発症に及ぼす影響を解明し、疾患の発症予測法の確立と個別化医療の実現を目指しています。ToMMoでは、2016~2020年度の5年間に渡りGRIFINの委託研究開発課題として、「多因子疾患の個別化予防・医療を実現するための公開統合ゲノム情報基盤の構築」に取り組んできました(研究開発代表者 山本 雅之 機構長)。

公開統合ゲノム情報基盤の構築とデータシェアリングの推進

東北メディカル・メガバンク計画参加者より提供いただいた生体試料を用いて、約24,000人のジャポニカアレイによるゲノム解析、約7,000人のメタボローム解析、さらに約2,400人の口腔マイクロバイオーム解析を実施しました。加えて、全ゲノム情報が明らかな細胞試料として、約2,700人の不死化B細胞と増殖T細胞を作製し、ストレス応答をモデルとした有用性検証を実施するとともに、希望する研究者に分譲しました。
ゲノム、オミックス解析データは、クリーニング後、統合データベースdbTMMに搭載して分譲(制限公開)を行いました。また、頻度情報はjMorpから公開しました。これらのデータシェアリングを通じて、全国の研究者が利活用できる公開統合ゲノム情報基盤を構築しました。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象とした基盤の検証

構築した研究基盤の利便性検証として、COPDをモデルとした遺伝・環境要因の解明を試みました。地域支援センターでの詳細二次調査において、延べ4万人以上に呼気NO検査を実施しました。呼吸機能検査データ、喫煙歴、気管支喘息の有無等の情報と合わせることにより、喫煙を伴うCOPD群のみならず、喘息併発群や喫煙を伴わないCOPD群を選抜し、エクソームや全ゲノム解析を実施しました。
また、呼吸機能検査データ等を用いて、ゲノム情報との関連解析(GWAS解析)を実施し、COPDに関連する複数の遺伝子座位を同定しました。これらの関連遺伝子がコードするタンパク質の立体構造情報と、上記のエクソーム解析に基づくレアバリアントの情報を活用することで、タンパク質間相互作用に影響を及ぼすバリアントの同定にも至りました。

この課題からの研究成果

呼吸器疾患に関連する遺伝子座を同定~慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息の病因解明へ~【プレスリリース】

お口の中には健康のヒントがいっぱい ~日本初の大規模口腔マイクロバイオーム解析~【プレスリリース】