つながるコホートが幅広いニーズに応える

~コホート横断検索システムカタログを公開~

2022年2月21日、3つのコホートが参加する「コホート横断検索システムカタログ」を公開しました。
コホート横断検索システムカタログの公開 ~国内コホート調査情報の横断的な検索に向けて~【プレスリリース】

世界中でたくさんのコホート調査が実施されています。日本だけでも100近いコホート調査が行われており、それぞれ調査項目や対象となる集団が異なっています。コホートを始めとした疫学研究を利活用することでエビデンス(証拠)に基づく予防・医療が可能となります。これらのコホートが持つ情報を活用すれば、一人ひとりに合わせた効果の高い食品やサプリメントの開発、運動や食事などの生活習慣の提案のような、新しい市場が生まれるのではないかと考えられています。ヘルスケア市場にとって、コホート情報はシーズのかたまりなのです。

ところがいざ「こんな情報が必要だ」というニーズがあっても、どこにどのような形で情報が存在するのか、網羅的に探し出すことはできません。コホート調査は大抵、大学や研究所によって実施されます。調査で得られた情報は多くの場合収集した機関で活用され、論文等の形で共有されることはあるものの、データを他の機関、特に産業界で利用することはありませんでした。そもそも、参加者の方々に収集機関以外の利用を許可するための説明をしたり同意を得たりはしていないことが多かったのです。しかしながら近年、産業界の利活用を前提として説明し同意を得ている研究も増えてきています。そこでエビデンスに基づく予防・医療の発展・確立のために、産業界の利活用が可能なコホートと、そのコホートが分析している項目を知りたい、という要望が高まってきました。
しかし、どこにどんな情報があるかについては各コホートにひとつひとつ問い合わせなければならず、コホートの利活用という観点からコホート横断的な検索システム並びにカタログの作成の必要性が言われるようになってきたのです。

こういった背景のもと官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の成果として「東北メディカル・メガバンク計画」「PRISM認知症プロジェクト」「NIBIOHNマイクロバイオームプロジェクト」の3つのコホートを合わせて、横断的に情報のありかを検索できる「コホート横断検索システムカタログ」を発表しました。
検索可能な項目や詳細についてはプレスリリースをご覧ください。

現在参加しているコホートは3つだけですが、今後参加コホートを順次拡大し、国内の各コホート情報を検索可能にする予定です。
一方、参加済みの3つのコホートには共通点があります。コホートはそれぞれ色々な種類の情報を持っていますが、特に今回、腸内細菌や口腔内細菌に代表されるマイクロバイオーム情報を持つコホートが参加しています。マイクロバイオーム情報は、摂取した薬品や食品がどのように身体に作用するのかを知る大きなきっかけになり得るので、この3つでも大きなニーズがあると考えます。

今回の発表を皮切りに順次情報を充実させ、ヘルスケア食品市場はもちろん、ヘルスケア全般や医薬品等、幅広い市場に役立つデータベースに育ててまいります。

コホート横断検索システムカタログ

(2022年4月8日)