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河北新報 リレーエッセー 医進伝心 第44回

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  • 医療情報の活用によるゲノム医療実現/患者を正確に「層別化」

    2015年12月16日 掲載
     荻島創一

    個人のゲノムを解読できる時代となり、ゲノム情報を医療に生かすために、米国では精密医療研究、日本ではゲノム医療研究のプロジェクトがそれぞれ立ち上がっています。この新しい医療は、まず体質(ゲノム情報)、多様なモバイル機器などで収集される毎日の体調のデータ、生活環境・習慣の情報および医療機関での診療録を用いて、患者の発症前から発症に至るまでの状態を正確に把握し、患者を体質や健康状態、生活習慣などで「層別化」して最適な医療を実現しようというものです。
    ここで重要なのが、病気を発症した方の診療録に基づいた正確な病名や症状などを記述した表現型情報です。従来、病院のカルテを転記していましたが、医事会計や検査、投薬のオーダーの効率化を経て、現在ではカルテの電子化が進んでいます。この病院の医療情報を活用し、診断病名と検査値、投薬から病名や症状を記述することで、正確な表現型情報を得ることができます。医療情報を地域のネットワークで共有し、生涯にわたる医療記録が蓄積されると、病歴に合わせた医療が実現するばかりか、生まれてから老いるまでのゲノム医療の実現にもつながります。こうした医療記録を患者が管理し、個人の生涯にわたる健康記録に基づいて健康管理する試みも始まっています。
    医療情報の活用により、患者を正確に「層別化」した最適な医療の実現を推進する一方で、個人の医療情報とゲノム情報については、個人の尊厳の保持および人権を尊重し、社会の理解を得て、人類の健康や福祉の発展のためにいかに利用するかを考えていく必要があります。
     
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