地域住民コホート調査って何ですか?

調査の背景

東日本大震災後、宮城県と岩手県では、循環器疾患、感染症、PTSR(心的外傷後ストレス反応)等、様々な病気の増加が懸念されています。病気の増加を抑えるためには、その原因と疑われるものの状況を早く調べることが必要です。また、最近の医学の進歩により調査が可能となった一人ひとりの体質(ゲノム情報)と、生活習慣や環境の組み合わせがどのように病気を引き起こすかについて、大勢の人を調査する必要があります。
地域住民コホート調査では、健康調査を行うことで、地域の方々の疾患の早期発見と早期受診に役立てるとともに、個人の体質(ゲノム情報)を考慮した病気の予防法や治療法の開発を目的としています。

地域住民コホートは東北メディカル・メガバンク事業の一つで、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構が実施しています。 

私たちの願い

私たちは健康調査を通じて、一人ひとりの体質(ゲノム情報)と生活習慣や環境の組み合わせが、健康状態にどのような影響を与えるかを調べます(1回の調査だけではなく、その後も継続的に調査させていただいております)。地域住民コホート調査は、ご協力いただく方の同意を得た上で、まず参加時点に血液・尿検査やアンケート調査等を行い、さらにゲノム解析、その後の健康状態に関する追跡調査(約1年から5年毎の郵送によるアンケート調査)や詳細調査(採血やアンケート等による健康調査)を実施します。一人ひとりの体質(ゲノム情報)を考慮した病気の予防法や治療法を開発するための基盤作りにご協力いただいています。

また、調査を通じて震災被災地の方々の心身への影響を把握・分析し、健康支援のあり方を考え、今後の地域の保健・医療の向上につなげることを目指します。一部の調査項目については、ご協力いただいた一人ひとりへ結果をお返ししています*。調査の結果、追加の検査が必要と考えられた方にはこちらからご連絡をし、面談をさせていただくことがあります。 これらを、参加いただいた方の健康づくりに直接お役立ていただきたいと考えています。

私たちは、この地域住民コホート調査を通して、宮城県および岩手県の方々の健康状態の把握と病気の早期発見・早期治療および予防を目指しつつ、未来の医療を切り開いていきたいと考えています。皆さまのご協力をよろしくお願い申し上げます。

*地域住民コホートの健康調査は、調査項目の一部について結果をお知らせしますが、皆さまの健康状態を総合的に診断するものではありません。 また、本研究におけるヒトゲノム・遺伝子等の解析は健康診断の目的で行うものではなく、ヒトゲノム・遺伝子解析によって、あなたの健康状態や病気の徴候をすべて把握することはできません。 したがって、健康管理のため、健康診断の定期的な受診をお勧めしています。

コホート調査とは

コホート調査とは、病気の原因を明らかにするための研究方法の一つです。一人ひとりの体質(ゲノム情報)の違いは病気の原因の一つではありますが、もしそれだけで病気が引き起こされるのならば、病気になった方とそうでない方の体質(ゲノム情報)を比較すれば良いことになります。しかし、多くの病気では、その方の生活習慣や、生活環境も病気にかかる原因のうち多くの部分を占めます。そして体質(ゲノム情報)と生活習慣・環境の組み合わせによっても病気のかかりやすさが変わってきます。

それでは病気になった方に生活習慣や環境を思い出してもらって調査をすれば良さそうなものですが、昔の情報を正確に思い出していただくのはなかなか難しいことが知られています。 コホート調査では、まず健康な方の現在の生活習慣や環境を調べ、その後の病気の発症との関連を調べます。一人ひとりの体質(ゲノム情報)と生活習慣や環境がどのように病気と関連するかを調べるための最も優れた研究方法の一つがコホート調査です。

地域住民コホート調査の内容について

地域住民コホート調査の内容については、長期健康調査サイトをご覧ください。

パンフレット

参加者の皆さまへ
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