ピックアップ

iPS細胞

2019.11.26

バイオバンクからiPS細胞を樹立

ToMMoは以前より京都大学iPS細胞研究所と共同研究を行っておりましたが、このたび、コホート調査に参加されている方のうち6人分について血液細胞からiPS細胞の樹立を試みた結果、全例から樹立に成功し、この成果を発表しました。

東北メディカル・メガバンク計画参加者の血液細胞からのiPS細胞樹立に成功~15万人分の保存血液細胞がiPS細胞研究に利用できる可能性~【プレスリリース】

iPS細胞といえば再生医療応用を目指した研究が有名ですが、iPS細胞は他の様々な分野でも使われています。中でも、病気の原因や治療法、薬の効果や副作用の研究への利用は大変期待されています。iPS細胞はさまざまな組織や臓器、例えば神経、心筋、肝臓など、機能が異なる細胞に変化する能力を持っています。iPS細胞を使えば、採取が難しい脳や心臓などの細胞を含む、様々な細胞に対する研究が可能になります。

では、バイオバンクで保存する血液細胞からiPS細胞を樹立したことにはどういった意味があるのでしょうか?

例とし、統計的な遺伝子解析によって、A遺伝子の型と心臓の病気の関係、あるいはB遺伝子の型とある薬の腎臓に対する副作用の関係が見つかったとします。次の段階として、その関係性の元となる細胞内のメカニズムを明らかにする研究が必要となります。さらに、そのメカニズムに働く薬の開発が行われる場合もあります。その際、特定の(上記の場合はAやBの)遺伝子型を持つ心臓や腎臓などの組織は簡単には手に入りませんが、バイオバンクのゲノム情報をもとにその遺伝子型を持つiPS細胞を作製し、さらに心臓や腎臓の細胞に分化させて解析することで、この問題を解決することができます。今回、バイオバンクに保存されている血液細胞をiPS細胞化できることが明らかになりましたので、「様々なヒト/遺伝子型」の「様々な組織の細胞」で研究できる可能性が大きく広がりました。

小さな規模のバイオバンクや病気の方のみを対象とした疾患バイオバンクではこのような研究は困難です。多くの健常者の方々が参加している、東北メディカル・メガバンク計画のバイオバンクの取り組みに期待が寄せられています。

ページの上部へ移動する