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尿ナトカリ比

2019.6.25

尿からわかる塩分・野菜のバランス

塩分のとりすぎは高血圧の原因のひとつです。一方で野菜や果物などに多く含まれているカリウムを多く摂取すると、血圧が低下するという研究報告があります。近年、塩分(ナトリウム)と野菜(カリウム)摂取のバランスを表す指標として、尿ナトリウム・カリウム比(尿ナトカリ比)が注目されています。この尿ナトカリ比値が低いほど塩分摂取量が少なく、野菜などに多く含まれているカリウムをたっぷり摂っていることが、反対に値が高いと食事中の塩分が多い、あるいはカリウム(野菜等)が不足していることが考えられます。当機構ではこの尿ナトカリ比について研究を進めています。

主治医から「あなたは、しょっぱいものが好きだから塩分のとりすぎに気をつけて」「ラーメンの汁は全部飲んだらだめだよ」などと言われたことありませんか?しかし実際には、塩分を気にして毎度の食事を摂ることは、なかなか難しいと思います。

塩分摂取状況の評価は24時間蓄尿が一般的であるため、短時間で測定値を得ることが困難でした。しかしながら食事による塩分を取りすぎているかどうかを簡単に測ることができる「尿ナトカリ計」がオムロンヘルスケア株式会社から開発され、尿1~2滴でその場で簡単に、かつ連日の測定が可能となりました。

当機構ではオムロンヘルスケア株式会社との共同研究で、2回目の健康調査にいらしていただいた方に尿ナトカリ計を10日間貸し出しております(一部の地域支援センター限定)。この共同研究は現在も実施しておりますが、尿ナトカリ比が高いグループほど高血圧の有病率が高かったこと、その人の食習慣を把握するためには複数日の尿ナトカリ比測定で評価した方が、より鋭敏に高血圧との関連を示す可能性があることが分かってきました。

オムロンヘルスケア社との共同研究の論文(単日あるいは複数日測定の尿ナトカリ比と高血圧有病率との関連)がHypertension Research誌に掲載されました(ToMMoウェブサイト)

尿ナトカリ比には明確な基準値はありませんが、他の研究においても尿ナトカリ比値が高いほど高血圧有病率が高まることや、循環器疾患や脳卒中の危険度が高まるという結果が発表されています。今後はさらなる研究が進み、食習慣の見直しのための基準が明確になれば、手軽に減塩に取り組むことができるでしょう。

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