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地域住民コホート調査

2018.12.10

依然として続く心身への影響 -2回目の調査からわかったこと-

地域住民コホート調査の参加者を対象に、1回目と2回目の健康調査の結果を検証したところ、震災被害が依然として心身への影響を与えていることが明らかになりました。2回目の健康調査とは、2017年6月から参加者の皆さまに順にお願いしている、各地域支援センターにて受けていただく2回目の健康調査のことです。

まず初めに、家屋被害の程度に関わらず、最初の調査に比べ2回目の調査時のほうが心理的苦痛を感じている住民の割合が低くなっていました。しかし、家屋被害の多かった住民は2回目の調査時においても、家屋被害が中くらいだった、あるいは被害がなかった住民に比べて心理的苦痛のリスクが高いことが分かりました。

次に、最初の調査時点から家屋被害が大きいほど平均歩数が少ないという傾向は見られていましたが、2回目の調査においてもなお同じ傾向が見られました。このことから、家屋被害の大きかった住民は歩く機会が少ない状態が継続しており、身体活動を実施する場を積極的に提供することが重要だと示唆されました。

さらに、2回目の調査において、家屋被害が大きかった住民の骨密度が低値であることが明らかになりました。最初の調査時点では家屋被害の程度によって差が大きくなかったことから、平均歩数の低下等に伴い骨密度も低下してしまう“負の循環”が発生している可能性があり、被災の大きかった住民に対してより積極的な外出を促していく必要があると考えられます。

今回の分析結果で震災が今もなお心身に影響を与えていることが明らかになり、継続的な骨密度などの詳細な検査の有効性が示されました。現時点では血圧や頸動脈エコーなどにおいて関連性は見られませんでしたが、平均歩数の低下に伴い、BMIの増加、メタボリックシンドロームと順を追って悪化する可能性があり、引き続き経過を観察していく必要があります。

こうした分析結果を県・市町村をはじめとする自治体・地域と共有し、いかにして震災からの二次健康被害を軽減していくかについて検討を引き続き進めていきます。

・参考
詳細調査で明らかになる震災被害の長期的な影響‐家屋被害の大きかった人で、心理的苦痛、平均歩数、骨密度への影響が継続‐【プレスリリース】

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