個別化ヘルスケア実現に向けた新機軸~2021年4月から新たな段階へ~

  • 成果と活動
  • 個別化ヘルスケア実現に向けた新機軸~2021年4月から新たな段階へ~

山本雅之機構長挨拶

機構発足から2020年度までの10年間、東北メディカル・メガバンク機構は被災地の健康管理に貢献するとともに、複合バイオバンクの強みを活かしたゲノム医療研究基盤の構築を通して、世界の個別化医療・予防研究の発展へ貢献してまいりました。

当計画は2021年4月から新しいステージに進みます。新ステージでは、当機構の一般住民ゲノムコホートをさらに充実させるとともに、当機構のバイオバンクを個別化ヘルスケア実現に資するバイオバンク連携の中核として機能させることを目指します。

当機構は、多くの人が罹患する生活習慣病等を対象として、遺伝子多型解析からの最先端の疾患発症リスク予測に挑戦します。また、ライフステージや個人ごとの違いを考慮した疾患の発症・重症化予防に資する研究開発およびその成果の社会実装に挑戦していきます。そして、他のコホート・バイオバンクとも協力して、解析基盤、解析技術、バイオバンク管理・運営技術等の標準化に挑み、それを担う人材育成にも邁進してまいります。さらに、産官学の共同研究を積極的に実施し、重点対象疾患に対する研究成果創出や個別化ヘルスケアの社会実装に取り組んでまいります。

地域住民の皆さま、自治体、各関係機関におかれましては、これからも以前と変わらぬご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

第3段階の取組

総務・企画事業部

部長 佐藤政文

総務・企画事業部は、我が国最大級の一般住民ゲノムコホート・バイオバンクを最大限に利活用し、当計画が目指す個別化医療・予防等の次世代医療の実現に向けて、国内外の研究情勢を見据えた戦略を立て、機構内の組織体制を整え事業を推進していきます。

国民一人ひとりが自らの健康を自分の持つ遺伝情報等に合わせて生活全般をマネジメントする個別化ヘルスケアを実現するため、多因子疾患等のリスクを個人に回付する先行モデルの確立を目指します。また自治体との協働関係を発展させ、一人ひとりに対して個別化された保健指導が可能なモデル事業の構築を検討していきます。

こうした未来型の健康モデルを実現していくためには、コホート調査の参加者をはじめとした地元の住民の方々、関係府省、自治体、公共団体、国内外の研究機関等と良好な関係の構築が欠かせません。また、製薬産業をはじめとした健康関連の企業や、大規模な情報を扱う企業等との協業などの産学連携を、専門の窓口を設けて推進します。多様な研究から得られる知的財産は戦略的なマネジメントを行い、本事業のみならず国全体での個別化ヘルスケア社会の実現に必要な人材育成や広報・コミュニケーション活動に取り組みます。

コホート事業部

部長 栗山進一

コホート事業部は、コホート調査の企画および運営を担当しています。コホート調査ではコホートご参加のみなさまと直接接する機会も多く、業務もそれだけ複雑多岐にわたります。コホート推進センターでは地域住民コホート調査および三世代コホート調査の総括と調整を行っています。各コホート担当は、コホート調査の管理・運営などの実務一般を行います。さらに、コホート調査では、マイナポータルの活用による公的情報の効率的な収集やウェアラブルデバイスを用いた詳細かつ長期的なパーソナルヘルスレコードの収集に取り組みます。

コホート調査には調査票調査、公的情報や医療情報の利活用、センター型調査などが含まれます。このうちセンター型調査を健康調査推進センターが担っています。東北大学東北メディカル・メガバンク機構では、センター型調査を行う施設を石巻・気仙沼、岩沼・白石、多賀城、仙台、大崎に設置しています。この他に健康調査推進センターには、子ども健康調査支援担当、脳と心の研究推進担当、地域医療連携担当があり、それぞれ未成年者に対する健康調査、コホート参加者の精神的健康に関する評価や情報の集積、地域医療支援などを担っています。

さらに脳画像調査室と匿名化管理室があり、それぞれMRIを用いたコホート調査に関することと試料・情報の受入れに関することを行っています。

複合バイオバンク事業部

部長 泉陽子

コホート調査の進展とともに、調査に継続的に参加される皆様からご提供いただく試料・情報は、人生のさまざまなステージを継続的にとらえる、他に類を見ない大規模かつ貴重なものとなっています。複合バイオバンクはこれらの試料・情報を統合された形で保管しており、品質管理やセキュリティを高い水準に保ってまいります。同時に、複合バイオバンクが個別化ヘルスケアの実現を目指す研究の基盤として十分に利活用されるよう、個人情報保護と適切な手続きを確保したうえで、共同研究や試料・情報分譲を一層積極的に進めます。また、国内の他のコホート・バイオバンクとの連携を強化し、より大規模な研究基盤、解析基盤の形成に取り組みます。

複合バイオバンクに格納する情報を一層価値の高いものとするため、さまざまな最先端の解析手法を開発し、実際の試料での解析を進めていきます。具体例として、全ゲノム解析やアレイ解析による遺伝子多型の解析、血漿中の代謝物の網羅的な解析(メタボローム)、口腔内のメタゲノム解析など多くの研究者が多様な解析に利用するゲノム・オミックスなどの基盤的な情報化を推進し、分譲・共同研究でのデータの提供を推進します。この結果、多くの人が罹患する生活習慣病を対象として、遺伝子多型に基づく発症リスク予測の精度向上を図る基盤を構築し、全国の研究者への提供を行いながら、個別化ヘルスケアの基盤となるエビデンス構築を進めます。