「東北メディカル・メガバンク事業のスタートにあたって」(2012年10月)

東北メディカル・メガバンク事業のスタートにあたって

img-greetings02東日本大震災は東北地方の太平洋沿岸部を中心に大きな被害をもたらしました。東北大学は、この地域に拠点を構える大学として、この被害からの創造的復興に貢献するために、震災復興に取り組みながら未来型医療を築く東北メディカル・メガバンク事業を提案し、その実現に向けて努力しています。

東北メディカル・メガバンク事業では、被災した地域の健康調査に取り組みながら、医療情報とゲノム情報を統合する複合バイオバンクを構築します。また、このバイオバンク事業を通して、東北地方への医療人の求心力向上、地域医療の復興、産学連携の促進、そして、関連分野の雇用創出、を成し遂げたいと考えています。私たちはさらに、本事業を通じてゲノム情報に基づいた未来型医療の基盤を築くことを目標にしています。

本事業を推進するために、東北大学は2012 年2 月1 日に東北メディカル・メガバンク機構を発足させました。本機構が取り組む事業は、複合バイオバンクの構築、地域医療支援体制の構築、高度専門人材の育成、の大きく3 つに分けられ、おおよそ10 年に及ぶ事業期間を計画しています。

私たちは、本事業の推進にあたって、まず東日本大震災により被害を受けた地域の方々に対する健康調査を実施し、その結果を回付して参ります。また、循環型医師支援システムの確立に取り組み、被災地で活動する医療人材の確保にあたります。さらに、医療情報のICT 化を推進し、二度と診療情報を失うことなく、地域で共通した医療記録にアクセスできる仕組みの構築に協力して行きます。 これらの活動は、未来の医療である個別化医療・個別化予防の実現に向けて、今後大きく貢献していくものと期待されます。さらに、私たちはこの事業を通して、様々な新しい研究領域に挑戦する有為な人材を育成していく所存です。

長期にわたる大規模な事業ですが、私たちはこの事業を是非とも成功させたいと考えています。そのためには、多くの方々のお力添えが必要です。皆様のご理解とご協力をなにとぞよろしくお願い申し上げます。

動画「機構長メッセージ」はこちらから聴取できます

東北大学 東北メディカル・メガバンク機構長
山本 雅之