河北新報 リレーエッセー 医進伝心 第66回

知りたいですか?遺伝情報/目的と「その後」考えて

2016年12月7日 掲載
相澤弥生

「遺伝情報を調べることができます。結果を知りたいですか?」と聞かれたら、どう答えますか? 遺伝情報を解析する技術の進歩により、より速く、より安く、より多くの遺伝情報を知ることができる時代になってきています。最近は、インターネットで遺伝子検査の広告を見掛けることもあります。また病院では、病気の原因となる遺伝子の変化を調べる検査を行うことがあり、こういった検査を専門用語で「遺伝学的検査」と呼んでいます。遺伝学的検査の結果を、予防や早期の治療に役立てることができる病気も少しずつ増えてきています。
しかし、遺伝情報を調べることは、一般の血液検査とは違った主な特徴が三つあります。一つ目は、遺伝情報が一生変わらないことです。遺伝情報を調べ結果を知ったら、知る前の自分には戻れません。二つ目は、症状の出る前に病気が発症するかどうか予測できる可能性があることです。三つ目は、同じ遺伝情報を親やきょうだいも持っている可能性があることです。最初に調べた人は知りたいと思っても、他の家族はその遺伝情報を知りたくないかもしれません。
どの遺伝情報を、いつ知りたいか、その結果を誰と共有するのかは人によってさまざまな答えがあるでしょう。時には、検査を受ける前にどうしたらよいのか分からなくなったり、結果を知ってショックを受けてしまったりすることもあります。そのため、遺伝の専門家が対応する「遺伝カウンセリング」という専門外来がある病院も少しずつ増えてきています。
あなたは自分の遺伝情報を知りたいですか?

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