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河北新報 リレーエッセー 医進伝心 第52回

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  • 米ぬかの科学と秘めた可能性/がん治療への応用期待

    2016年5月4日 掲載
     北谷和之

    日本人の主食はコメであり、紛れもなく日本社会はコメ文化とともに発展してきました。今回は、玄米を精白するときに出る米ぬかのお話です。昔は多くの家庭にぬか床があり、キュウリやナスなどの漬物が食卓をにぎわしました。また「ぬか漬けを作る人の手肌には潤いがある」などとも言い伝えられています。実際に米ぬかは古くから女性の美容にも使用されていたようです。このような米ぬかの活用は、生活の知恵として伝承され、現在では研究により科学的根拠が付与されて一層注目されています。
    皮膚の保湿に重要な成分として知られるセラミド。米ぬかにはセラミドの一種(グルコシルセラミド)が豊富に含まれています。科学・医学の進歩に伴い、この植物由来グルコシルセラミドの科学的な価値が見いだされ、肌の保湿性向上や美肌効果を期待した機能性素材として利用されています。
    また、動物を用いた最新の研究では、米ぬか由来グルコシルセラミドを餌に混ぜるとがん細胞を死滅させるという報告もあり、がんの予防や治療への応用が期待されています。このような米ぬか研究を基盤として、東北大においても婦人科がんの克服に向けて、セラミドを利用した新たな治療戦略の構築に力が注がれています。
    昔から身近にあった米ぬかですが、その多彩な機能性は、近年明らかにされつつあります。米ぬかの価値を科学的により深く検証することで、米ぬか利用の新たな可能性が期待されます。コメ文化の科学が、日本人のアイデンティティーとして世界に伝わることを願います。

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