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河北新報 リレーエッセー 医進伝心 第29回

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  • 環境や遺伝から解明される過敏性腸症候群/ストレスがスイッチに

    2015年5月6日 掲載
    田中由佳里

    大事な試合や試験の前、または通勤途中に腹痛が起こり、つらい思いをしたことがある。そのようなご経験をされた方は過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。最近3カ月以上にわたり、月3回以上腹痛あるいは腹部不快感があり、その時の排便頻度や便の状態に変化が見られ、排便で楽になる。成人の約15%がこの基準に当てはまるとされ、とても身近な疾患です。
    IBSの病態にストレス関連ホルモンが密接に関連しています。中でも、脳の視床下部から放出される副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)は、腸の運動や知覚を亢進(こうしん)させます。近年この脳-腸の関係とCRHの影響について、脳機能画像検査を用いた研究が活発に行われています。大腸を刺激した時に脳活動を観察すると、健常者に比べて、IBS患者は内臓に関連する部位だけではなく、不安やネガティブな感情に関わる扁桃(へんとう)体や海馬、前頭前野などの領域も、より活動していました。一方CRHの働きを抑える、CRH受容体拮抗(きっこう)薬を投与すると腹痛が改善し、脳活動も健常者とほぼ同等になりました。繰り返すストレス刺激によって、CRHなどのストレス関連物質が頻繁に放出され、体にスイッチが入りやすい状態になっていると考えられます。
    IBSの発症について遺伝的要因と環境要因の関連が言われています。上記のようなストレス関連ホルモンと脳腸相関に加えて、私たちの遺伝的特徴や、食事や生活様式などの関連を解析することで、病態のさらなる解明や治療法開発を目指しています。

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