調査の結果について

 

2012年のパイロット調査の結果について

東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は2012年11月より宮城県岩沼市、亘理町、山元町の小学2・4・6年生、中学2年生の児童・生徒約3,500人を対象にアンケートを配布し、保護者の方にご回答をお願いしました。約4割の児童・生徒の保護者の方からご回答いただいた結果から、PTSD、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、広汎性発達障害等の可能性があるお子さんが見いだされました。
また治療に関しては、気管支喘息で重度の症状があるにも関わらず、震災で治療を中断し、2年近く経過しても治療を再開できていないお子さんがいることが判明しています。
ただ、2012年の調査は2013年から開始する本調査のパイロット調査として地域と学年を限定して行ったため、あくまで今後の調査を行うための参考として機構では考えております。

 

2013年の調査の結果について

2013年6月、地域子ども長期健康調査チームは宮城県県南部の公立の全小学2・4・6年生と全中学2年生12,742人にアンケート調査を行いました。保護者の方から寄せられたご回答は4,068人分。ご回答から、日常生活においてなんらかの難しさを抱えていると疑われる方は606人でした。そのうち三分の二にあたる406人が治療や相談を受けていません。一方で、強い症状があるのに治療も診断も受けていない子どもは、気管支ぜんそくで27人、アトピー性皮膚炎で37人でした。症状が重い可能性のある1,497人には電話相談(こころの相談1,008人、からだの相談491人)を行い、ご希望に応じて保健師や心理士による面談も実施しました。
<2014年1月発行のニュースレター Vol.6より改変>

※2014年1月時点の調査結果についての記載です。
なおアンケートでは、皮膚と呼吸器についてはISAAC(The International Study of Asthma and Allergies in Childhood)、こころについてはSDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)という国際的に評価が定まった質問票を用いました。
※本調査の最初の結果に対して、2013年2月の各紙報道において、要支援児童・生徒のパーセンテージ数が見出しに掲げられるなどしました。 この回答集計結果は、現時点において、対象地域の特性を導くには数量的にも不足しており、あくまで、今後の調査を行うための参考としての位置づけとして、機構では考えております。
また、調査の結果、要支援の可能性が示唆された方々からのご回答そのものは、ご回答頂いた方々のご希望に基づき、機構としてのその後の支援活動につなげております。

 

2014年の調査の結果について

2014年6月、宮城県内の25の市町村にある公立小中学校のうち、ご協力いただいた188の小学校の2・4・6年生と、92の中学校の2年生28,159人にアンケート調査を行いました。そのうち、7,226人の保護者の方からご回答いただきました。そのうち、必要項目をお答え頂き、集計の対象となった6,451人のご回答からは、日常生活においてなんらかの難しさを抱えていると疑われる子どもは988人でした。一方で、強い症状があるのに治療も診断も受けていない子どもは、気管支ぜんそくで42人、アトピー性皮膚炎で85人にのぼりました。
対象地域が異なるため一概には言えませんが、H24年度から行っている本調査で、アトピー性皮膚炎の症状がある方と、日常生活においてなんらかの難しさを抱えていると疑われる子どもさんの割合に減少している傾向はみられていません。
※2015年2月時点の調査結果についての記載です。

 

2015年の調査の結果について

2015年6月、宮城県県北部の14の市町村にある公立小中学校のうち、ご協力いただいた124の小学校の2・4・6年生と、63の中学校の2年生 18,489人にアンケート調査を行いました。そのうち、4,374人の保護者の方からご回答いただきました。そのうち、必要項目をお答え頂いた3,880人のご回答が集計の対象となりました。このうち、日常生活においてなんらかの難しさを抱えていると疑われる子どもは640人でした。一方で、強い症状があるのに治療も診断も受けていない子どもは、気管支ぜんそくで24人、アトピー性皮膚炎で27人にのぼりました。H24年度から行っている本調査で、アトピー性皮膚炎の症状がある方と、日常生活においてなんらかの難しさを抱えていると疑われる子どもさんの割合には、減少傾向はみられていません。震災後4年たっても、震災の影響が続いていると考えられます。

調査結果への対応

ToMMoは一人ひとりのアンケート結果を保護者の方へ郵送しました。さらに調査の結果、治療が必要な可能性がある方には保護者のご希望に応じて、保健師や心理士による電話相談や面談を実施し、治療が必要と判断された場合は医療機関などの専門機関の受診をお勧めしました。2014年度からは、保護者のご希望と必要に応じて、スキンケアや体調管理・子どもとの関わりのヒントのリーフレットをお送りしました。また、保健行政に役立ててもらうため、市町村に集計結果をお知らせしています。
被災地ではアトピー性皮膚炎の症状の悪化が心配されていますが、治療で改善する病気でもあります。子どもの健康状態のためにも、この調査が役立てばとToMMoは願っています。