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2015.03.07

The Learning Health System & Tohoku Medical Information Highwayが開催されました

2月23日(月)から25日(水)に、シンポジウムThe Learning Health System & Tohoku Medical Information Highwayが開催されました。医療情報の未来を見すえ、先進的な医療情報インフラの東北への普及と医療の発展を目指す当シンポジウムで焦点が当てられたのは、ラーニング・ヘルス・システム(LHS)。LHSとは自己学習を繰り返す情報システムの一種で、近年米国で注目され医療機関で活用されはじめました。医療・医学領域でビッグデータの活用スピードを早めるツールになるとして期待が寄せられています。
シンポジウムには国内外から医療情報学を牽引する研究者10人を招待し、中谷 純室長(統合データベース室)とチャールズ・フリードマン教授(ミシガン大学)がオーガナイザーを務めました。マーク・フリッセ教授(バンダービルト大学)は「LHSを利用すれば、小さなデータのかけらが統合されていき、科学が大きく進歩するでしょう。患者情報は医師だけが知っているわけではありません。その他の医療者や家族・隣人しか知らない情報があるものです。LHSはそれらを統合して、大量の情報を扱うことができるようにします」と指摘し、チャールズ・フリードマン教授は「米国では政府がLHSを国家戦略の中で意識しています。LHSは全世界を発展させるインフラとなるでしょう」と語りました。さらにブレンダン・デレーニー教授(キングス・カレッジ・ロンドン)が「欧州ではTRANSFoRm計画のもとに、10カ国の21機関が連携してLHSを推進しようとしています」と紹介し、蔡 世峯特聘研究員(國家衛生研究院)が台湾で進むコホート調査とゲノム解析を報告しました。岡田 美保子理事長(日本医療情報学会)は「医療情報学は、情報科学の中でも社会的な側面を持った分野です。その学術活動には、未来に目を向けた長期的なビジョンがなければなりません」と話しました。ToMMoからは山本 雅之機構長はじめ8名が東北メディカル・メガバンク事業の取り組みを紹介しました。
連日開かれたのは来場者参加型のグループディスカッション。4つのグループに分かれ、LHSについて討議が繰り広げられました。議題に選ばれたのは「ToMMoでのLHSの統括やサステナビリティ」や「ToMMoが臨床面で地域へ貢献できること」などのテーマでした。
米国ルース財団の留学生として東北大学災害科学研究所災害精神医学分野で学ぶニコル・グナワンサさんは当シンポジウムに参加し「研究データの検証から得られた知見が臨床現場で実現されるまでには、現在たいへんな時間がかかっています。当シンポジウムでいくつもの理論に触れて、いわゆる『研究現場からベッドサイドまで』の流れがLHSにより時間短縮されることで、保健医療の改善がしやすくなると思いました。それは予防医学や患者ケアの質を高めることでもあります。この3日間で学んだのは、未来における医学と研究の望ましい関係というべきものでした」と話しています。
最終日にはダグラス・エンゲル教授(ミシガン大学)が3日間の議論をまとめ、シンポジウムは終了しました。

詳しいプログラムと講演の動画をTohoku Forum for Creativityウェブサイトにて公開していますので、ぜひご覧ください。

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LHSを築く際にはスタンダード作りが重要になります」と語るレベッカ・クッシュ代表(臨床データ交換標準コンソーシアム)

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