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2013.01.15

ToMMo GMRC(ゲノム・メディカルリサーチコーディネーター)の講習が初開催されました(報告その2)

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)のコホート事業

東北メディカル・メガバンク機構認定ゲノム・メディカルリサーチコーディネーター(ToMMo GMRC)の講習は、ToMMoが行う地域住民コホートと三世代コホートにおいて、研究協力のインフォームド・コンセントを適切に行うゲノム・メディカルリサーチコーディネーター(GMRC)を養成するためのものです。

ToMMoの三世代コホート事業に焦点を当てた目時弘仁講師(地域医療支援部門)の講義では、調査スケジュールや三世代コホートを行う根拠の一つとなった学説について解説がありました。この学説はDOHaD学説*1*2と呼ばれ、胎児期や乳幼児期の環境がその後の疾患(成人になってからの慢性疾患も含む)発症に影響を与えるという説です。

GMRCがインフォームド・コンセントを行う際には、研究に参加したくない人は気兼ねなく不参加を選べる空気を作る配慮の重要性について述べられました。また三世代コホートを基にした研究から、災害が引き金になって起きる疾患に対応して個々人に適したケアが発展してほしいと目時講師は希望を述べました。

 

 ToMMoの地域住民コホート事業をテーマにした寳澤篤教授(予防医学・疫学部門)の講義では、事業で行う健康調査の目的と、疫学研究で用いられる研究デザインについて説明があり、大規模ゲノムコホート研究に特有の長所が紹介されました。

疾患発症のリスクは、必ずしも遺伝的に固定されたものではなく、特定の環境(生活習慣等)の影響によって、変化します。例えば、お酒に弱い遺伝子を持った人がいたとしてもお酒を飲まなければアルコールの害というのは現れません。逆に同じ量のお酒を飲んだとしても、お酒に弱い遺伝子を持つ人の方がお酒に強い遺伝子を持つ人よりもアルコールの害が起こりやすくなることが知られています*3

疾患の原因や薬が体質に合うか合わないかの原因は、環境と遺伝子の両方が関わるものが多くあり、現在の医学研究で注目を集めるポイントです。

環境と遺伝子の両方が複雑に絡み合って起こる疾患の原因探索は、遺伝子だけに焦点を当てた研究デザインではカバーできません。遺伝子に加えて生活習慣や環境をも調査するゲノムコホートが役立つのです。ToMMoが行おうとしている大規模ゲノムコホート研究では、現在発症メカニズムがはっきりしていない疾患に関連する多くの因子が明らかになると思われます。その成果は、一人一人に合った治療法や予防法の発展に寄与すると期待されています。

実習

12回の講義を終えた後には実習が行われ、ToMMoとは別のコホート事業を行っているエコチル調査宮城ユニットセンターで活動するリサーチコーディネーターが、研究協力のお願いとインフォームド・コンセント取得の様子を実演しました。採血や採尿の説明に質問票の内容説明や記入のお願いと、その研究利用等についての解説をデモンストレーションしました。市民と向かい合って話す際には専門用語をかみ砕くことが大切であり、また「わからなかったことはないですか?」と区切って確認することも重要とのことです。

続いて受講者同士でペアを作り、GMRC役と市民役を交互に練習しました。さらに研究協力について説明した側とされた側が感想を言い合い、フィードバックに役立てました。

今後の予定

ToMMo GMRCは、2013年春以降に長期健康調査事業が行われる予定の宮城県各地の地域支援センターや特定健診会場、産科施設等で活動します。彼らの今後の活躍が期待されます。

参考文献

*1 DOHaD その基礎と臨床: 生活習慣病の根源を探る:胎生期から乳児期までの環境と成人期の健康問題

板橋家頭夫, 松田義雄, 金原出版, 2008

*2 Developmental Origins of Health and Disease

Peter Gluckman & Mark Hanson, Cambridge University Press, 2006

*3 Guo, H., Zhang, G. and Mai, R. (2012), Alcohol Dehydrogenase-1B Arg47His Polymorphism and Upper Aerodigestive Tract Cancer Risk: A Meta-Analysis Including 24,252 Subjects. Alcoholism: Clinical and Experimental Research, 36: 272–278.

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